修繕を終えて戻ってきた中町大人神輿
須賀川市中町町内会(市村喜雄会長)が約40年前に購入した全高約180㌢強の大人神輿の修繕作業が完了し、22日に同町内センターパーキング奥のみこし小屋へ帰ってきた。新品同様の輝きを取り戻した神輿に町内の喜びもひとしおで「今年の秋祭りでお披露目するのが今から楽しみ」と意気込む。
同町内会の大人神輿は白木破風造りで、皇室御用達の浅草宮本卯之助商店に昭54年、当時480万円で制作を依頼した。
同町内会は大型屋台を所有し秋祭りに参加してきたが、緻密な彫刻が施され、組み立てに1週間以上かかるなど苦労を重ねていた。
当時の青年会メンバーが中心となって、秋祭りにみんなで気軽に参加するには「やっぱり神輿だろう」と機運を高め、町内納税組合の積立などを利用して新調し、40年にわたり大人神輿が秋祭りに出動して盛り上げてきた。
老朽化により平成28年に応急修繕を行ったが、本格的なリペアは今回が初めて。宝くじ助成金補助を受け、修繕を新潟の業者に依頼した。約9カ月かけて神輿全体の金具類を全て交換し、頂点部分の鳳凰の飾りを磨き上げ、神輿本体が鎮座する台座と担ぎ棒をウルシで黒く塗り直した。
昨年は残念ながら新型コロナ禍で秋祭りへの神輿参加は取りやめとなったが、同町内会祭事を担当する矢代信一さんは「立派になって戻ってきた大人神輿を多くの人にお披露目したいですね。今年こそは秋祭りの神輿巡業が行われると信じています」と話した。
また十念寺敷地内の倉庫には大型屋台も分解した状況で保管されており、「将来的には修繕して若い世代に伝統を受け継いでもらいたい」とも期待を寄せていた。
関係者によると昨年再建なった本町巨大歌舞伎屋台や今回の中町大人神輿のように、まちなかの町内会は歴史と伝統を持つ屋台や神輿などが複数保管されており、それらを市と複数の町内会が連携協力して再建する機運が高まってほしいと期待する声も上がり始めている。