各校で命の大切さや日頃の防災意識伝える

教育

  • 画像
    慰霊碑に深く頭をさげる児童たち (長沼小)
  • 画像
    モニター越しに震災当時の話を聴く児童たち (鏡石一小)
  • 画像
    防災クイズで知識を深める生徒たち (須賀川一中)
  • 画像
    小貫校長の演奏を聴きながら被災者を思う生徒たち (稲田学園)

 東日本大震災から10年の節目に合わせ、須賀川・岩瀬管内の小中学校では震災関連の特別授業を行い、子どもたちに命の大切さや日頃の防災意識の重要性を伝えている。
 長沼小(積田育子校長)は11日に東日本大震災追悼集会を開き、児童らが慰霊碑のある滝防災公園で祈りをささげた。
 事前に体育館で積田校長の震災の話を聞き、藤沼湖決壊のスライド写真を真剣に見た児童らは、悲しみや辛い思いを感じ、慰霊碑では哀悼の意を表すように深く頭をさげていた。
 また10年前の長沼地域に起きた出来事を事前学習で教わり、感想文を発表した。
 地域の人たちの愛情を感じながら育つ児童らに震災を正しく理解し、後世に語り継いでほしいと企画した。
 被災者への思いに寄り添う言葉や、自分の命のありがたさ、守ってくれた家族への感謝の気持ち、万が一の地震に備えることなど発表し、震災から学んだ命の貴さなど深く胸に刻んでいた。
 鏡石一小(服部秀夫校長)の震災を考える会は11日、校内テレビ放送で開かれ、被害にあった同校の旧校舎などの映像をもとに、防災意識の重要性を教えた。
 服部校長は壁や柱が崩れた旧校舎の様子や当時着任していた須賀川一小の被災状況などを伝え、「災害が起きたらどうすればいいか考え、自分の命をしっかり守ることを意識して生活してほしい」と述べた。
 また平成28年度に卒業した添田剛志さんの作文を紹介した。添田さんは震災当時幼稚園児で、自宅が大きな被害を受け、余震対策で玄関近くに家族全員で眠ったこと、通常の卒園式ができなかったことなどつづり、「この貴重な体験を忘れず、未来につないでいかなくてはならないと、今なら思える」と締めくくった。
 須賀川一中(八木沼孝夫校長)は11日、中央体育館で震災を振り返る会を開き、体験談などを教わり、当時の出来事を風化させないことを誓った。
 10年前の被災時、同校に勤務していた池上潮理教諭は「自分に打ち克て」「震災に負けるな」など当時の生徒が掲げたメッセージを紹介し、「コロナ禍の現在も辛く苦しい状況で頑張っている点で同じ。みんなで協力し前に進んでいくことが本校の伝統と感じている」と述べた。
 生徒会が避難時の行動や連絡方法など○×クイズや選択問題で出題した。
 佐藤万優花生徒会長は「平成23年を現した漢字『絆』は今も大切にしなければならない。いつ地震が起こっても正しく行動できるよう今後も学習を深め、さらなる復興のため力になっていきたい」と誓いの言葉を掲げた。
 稲田学園(小貫崇明校長)の震災から学ぶ会は10日に開かれ、児童・生徒が自らの被災体験や防災への思いなどを書いた作文を発表した。
 小貫校長は「犠牲者には皆さんと同い年の子もおり、きっと明日も、未来に向けて生きていたかった。そうした思いを受け止め、どうか今を大切に一生懸命に生きてほしい」と伝えた。
 作文発表者のうち被災により鏡石町に移り住むことになった布施亨晴君(8年)は須賀川アリーナでの避難生活など体験を語り、「当時は余震で不安、恐怖を強く感じていたが、先月の地震で再びあの恐怖を思い出した。被災時は落ち着いて冷静に行動すること、被災時の行動を日頃から考えること、普段の生活の大切さを忘れないことが重要だと思う」と述べた。
 最後に小貫校長がユーフォニアムで「ガブリエルのオーボエ」を演奏し、全員で黙とうをささげた。