献花台に白菊を捧げる関係者たち
「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい2021」は11日、滝防災公園で開かれ、慰霊碑除幕式に参列した決壊犠牲者の親族や関係者ら約100人が献花台に白菊をささげ、犠牲者の鎮魂と決壊再発防止、決壊の記憶を風化させず後世に語り継ぐことへの決意などを改めて誓った。
「記憶をつなぐつどい」は藤沼湖決壊の記憶と教訓を後世に伝えるために、実行委員会(加藤和記委員長)を発足し、毎年震災発生日の3月11日に合わせて開いている。
今年は藤沼湖決壊による慰霊碑が滝防災公園に完成し、除幕式を行った(詳細既報)。式典終了後に慰霊碑前に献花台を設け、「記憶をつなぐつどい」を開いた。
加藤委員長が「改めて犠牲になられた方々に深い哀悼の意を表します。記憶をつなぐことの大切さを感じていた中での慰霊碑建立に多くの方の協力をいただき感謝しています。この慰霊碑は亡くなった方の追悼もありますが、今生きている我々がこれから何を成すべきか、何をするべきかを示してくれていると信じています」とあいさつし、若き語り部の五十嵐夏菜さん(長沼高2年)らと協力して「つなぐつどい」の活動を継続していきたいと述べた。
つどいは最後に慰霊碑前に設置された献花台に藤沼湖決壊犠牲者遺族らから順に白菊をささげた。
除幕式とつどいに出席した地元住民らは藤沼湖決壊による慰霊碑建立実行委員会が発行した冊子「あの日を忘れない~そして語り継ぐ未来へ」で、決壊後の写真などを見直しながら、流された人を助けるために飛び込んだ男性、車に乗ったまま濁流に流され九死に一生を得た経験などを語り合い、記憶を受け継ぐことの大切さを再確認し合っていた。
藤沼湖決壊は10年前の東日本大震災による震度6強の激震が長時間襲い本堤が決壊し、満水近い約150万㌧の貯水が濁流と化して、大量の土砂や雑木を飲み込んで簀の子川に流れ込んだ。
滝・北町・城影地区を中心に濁流が流れ込み、多くの家屋や田んぼ、車両などを押し流した。決壊により7人が死亡、1人が今も行方不明となっている。