震災詠を元に当時を振り返る永瀬さん(手前) と高野さん(奥)
東日本大震災をテーマに俳句作品を詠み話題を呼んだ、高野ムツオさんと永瀬十悟さんの「ギャラリートーク」は14日、風流のはじめ館で開催中の「語り継ぐいのちの俳句展」会場で開かれた。市内外から俳句愛好者ら約30人が集まった。
高野さんは宮城県生まれで、金子兜太氏、佐藤鬼房氏らに師事し、震災を詠んだ句集「萬の翅」が第48回蛇笏賞を受賞した。「語り継ぐいのちの俳句展」に震災詠26句と自解、写真家佐々木隆二さんが被災地で撮影した記録写真とのコラボレーションを展示している。
永瀬十悟さんは須賀川市出身の桔槹吟社同人で、第56回福島県文学賞、第57回角川俳句賞を受賞した。句集「三日月湖」で第74回現代俳句協会賞に輝いた。
ギャラリートークで高野さんは2月13日に発生した福島県沖地震被災者にお見舞いの言葉を送り、平成16年に牡丹焚火講師として須賀川を訪れた思い出を振り返った。春の花の盛りの須賀川牡丹園をいつか訪ねたいとも話した。
高野さんは多賀城市在住で、東日本大震災を仙台駅で被災した経験を振り返り、震災を詠んだ100句と自解、写真をまとめた句集「語り継ぐいのちの俳句」について永瀬さんと語り合い、「(震災詠を)文字に残すことができたのは私にとっても1冊の宝物ができた」と話し、「四肢へ地震(ない)ただ轟轟(ごうごう)と轟轟と」などの収載句と自解とともに震災からの日々を振り返った。
参加者は高野さんと永瀬さんのトークを聞きながら、それぞれの3・11を胸の中で思い描き、時折交ざるジョークに笑顔を見せていた。
なお特別展「語り継ぐいのちの俳句2021」、テーマ展「東日本大震災を詠む」は31日まで風流のはじめ館で開かれている。午前9時から午後5時まで入場無料で観覧できる。