小作田・雲水峯の橋架け替え案などの説明会
一昨年10月の台風19号で発生した戦後最大の記録的な降雨で発生した阿武隈川流域の多くの場所での越水・浸水被害を踏まえ、 国は令和10年までの大規模改修事業 「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」 を策定している。 国・県・市による地元住民に向けた計画説明会が18日、 大東公民館で開かれた。 被害再発防止のため、 架け替える小作田橋・雲水峯大橋は現在地でなく 「上流側」 を本命に計画を進めると説明があった。
同プロジェクトは本川・支川の抜本的な対策と流域対策が一体となった防災・減災対策で、ハード整備とソフト対策が一体となった浸水被害の軽減と逃げ遅れゼロ、社会経済被害の最少化を目指す。
台風19号は流域全域で戦後最大の記録的な降雨となり、2日間で年間降水量の約25%にあたる253㍉を記録した。
須賀川市の基準観測所(浜尾地域)では、計画最高位(7・99㍍)を1・6㍍以上上回る9・6㍍の水位となり、市内では2人が死亡、農業被害は約29億円、商工業被害は約53億円、浜尾地区をはじめ1060棟の住宅浸水被害を受けた。
治水対策プロジェクトは令和10年度まで全体事業費約1840億円をかけて、流域全体で河道掘削約220万立方㍍、築堤約400㍍、橋梁架け替え2橋、遊水地群整備(鏡石町など上流区域)に着手する。
小作田・雲水峯大橋周辺は堤防の高さが台風19号クラスの水位上昇に足りず、住宅地への越水を招く大きな原因となった。
今回の洪水被害を受けて、越水区域を中心に洪水を氾濫させないために新たに堤防を築造して対策を図る。現況の2つの橋も堤防整備に合わせて架け替える。
現在の橋の場所に架け替え工事を行う場合、仮橋を新築するなど事業に係る時間と費用のロスが大きくなること、周辺住宅地や地形などを総合的に勘案し、小作田橋と雲水峯大橋はともに現在地の上流側に新しい橋をかける。
現在は設計段階にあるが、新しい橋は現在の橋と比べて車道幅はほぼ変わらないが路肩部分が広がる見込み。大まかなルートなども含めて決定する夏頃にもう一度計画説明会を開く。ルート設定後の用地調査は今年の秋口から長くて来年2月頃までを予定している。
現在の小作田・雲水峯大橋はともに、架け替え工事完了まで通行止めはせず、新橋完成後もスムーズに移行する。
工事は設計完了から複数年かかるものとみられるが、用地調査などを控えるため具体的な計画年数や完成時期について国・県は明言を避けた。
計画説明会は今後、23日に東公民館、25日に小塩江公民館で開き、地元住民らを対象に2つの橋架け替えなど説明する。