阿武隈川漁協は4月1日から、東日本大震災以来10年ぶりに漁業・遊漁を一部条件付きで解禁する。ヤマメは県北の一部で放射線量が高かったため今回は見送られたが、信夫ダムを隔てて上流域ではアユ、コイ、ウグイ、イワナ、フナ、下流域ではアユ、コイ、ウグイを釣ることができる。
これまで漁協では須賀川支部など各支部が支流で検体となる魚を採取し、一日も早い再開に向け力を尽くしてきた。
念願の再開を喜ぶ声も聞かれる一方で、10年間新規加入者がいなかったことなどから、各支部とも平均年齢の上昇が進み、後継者への引き継ぎなどが課題となっている。
鈴木裕須賀川支部長は「特にこの地域では釣った魚を食べることまで含めた漁業を文化として継承されてきた。しかしその文化を実施できず、様々なものを失った10年という時間はあまりに大きい。それでもこの魅力ある文化がなくならないよう取り組まなくてはならない」と頭を抱える。
鈴木支部長は市内西川で釣り堀「釣仙郷」も運営しており、ヤマメなど阿武隈川で釣れない魚や山中まで入らなくても釣りが楽しめるよう工夫を重ねる。また釣り堀をきっかけに親子など若い世代が釣り文化に触れ、ゆくゆくは川釣りなども楽しんでもらいたいと願いを込める。
組合の新規加入や川で釣りを楽しむための遊漁承認手続きに関する問い合わせは鈴木支部長(℡080―5562―4563)まで。