搬出に向けて準備をすすめる西袋集積場
東日本大震災と東京電力第一原子力発電所事故から10年1カ月が過ぎ、今もなお放射能汚染に対する風評被害は根強く残っているが、須賀川市は事故前の日常を一日も早く取り戻すべく、国が策定した「中間貯蔵施設への除染土壌等の輸送に係る実施計画」に基づき、住宅除染などで発生した除去土壌の搬出を実施している。発生土壌全ての搬出は年内に完了する見通しとなった。
市は学校施設や住宅などの除染作業を積極的に展開し、市内全学校57施設から発生した1万6720立方㍍、住宅などから発生した18万9502立方㍍(見込み含む)の合わせて20万6222立方㍍の除去土壌を順次搬出し、11月頃に全量完了の見込みが立った。
搬出にあたっては、除去土壌等を保管している場所(住宅庭など)から各地区の積み込み場への集約を市が、中間貯蔵施設への輸送を国が実施する。
住宅等からの搬出は平成30年度から始まり、学校施設搬出量と合わせて、全体の約4分の3にあたる約15万3700立方㍍の搬出を終えた。
昨年度は21の積み込み場のうち7割が搬出完了、残りは現在集約中や輸送中で完了の目処が立った。計画では全10万3250立方㍍を中間貯蔵施設に搬出する。
今年度は2カ所の積み込み場を残すのみとなり、5月下旬から集約を計画する。
西袋積み込み場A(森宿、西川西、あおば町、小塩江、浜田、大東)1万100立方㍍と同B(西川東、旧市内、芹沢町)3000立方㍍の計1万3100立方㍍で輸送完了は11月頃を目指している。
なお一部で積み込み場からの搬出が完了していないため、市からの除染除去土壌全搬出量は現段階であくまでも概算であり、市は計画量よりもやや少ない約20万立方㍍が実質量と見込む。
学校施設と住宅等からの除染除去土壌搬出は、除染完了校、地域から順次始まった。
学校施設はグラウンド隅などに、住宅は庭や集会所、公園などに埋設し、積み込み場に集約して中間貯蔵施設に輸送した。
学校施設からの搬出は27年度4施設1202立方㍍、28年度12施設5510立方㍍、29年度35施設7376立方㍍、30年度6施設2632立方㍍の計57施設1万6720立方㍍が完了し、学校には保育所やこども園、幼稚園なども含まれる。
住宅等からの搬出は30年度10積み込み場3万245立方㍍を皮切りに、31年度13積み込み場4万2907立方㍍、昨年度(集約中など含む)21積み込み場10万3250立方㍍で、今年度の2積み込み場1万3100立方㍍で全て完了する。