二階堂神社大ケヤキ1本伐採「大きな虚(ウロ)、樹勢回復せず」

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    大ケヤキの根本にある巨大な虚
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    「伐採」までの経緯と決断を報告する吉田会長

 樹齢350年以上とも言われ、松明あかしの御神火奉受式会場としても長年市民に親しまれてきた、宮先町の二階堂神社大ケヤキ2本(市天然記念物)のうち、拝殿向かって右側大樹の樹勢衰えが震災以降著しく、樹木医2人の診断で回復が見込めないことから、近隣への安全を考慮してやむなく伐採することを決めた。
 神社を管理する宮先町町内会の吉田勝昭会長、栁沼完次、郡部仁喜両副会長、同町内の石堂正章市議が21日、橋本克也市長に伐採に至るまでの経緯と決定事項を報告した。
 二階堂神社は戦国時代に須賀川地方を治めていた二階堂家の須賀川城址本丸の一部にあった。社は当初、隣地の内藤家が自家の氏神とともに二階堂氏一族の霊を祀ってきたが、明治の須賀川大火で拝殿などが大破し、大正に町内の医師らが主唱して現在の呼称で呼ばれるようになった。
 大ケヤキは御神木として長年慣れ親しまれていたが、10年前の東日本大震災で石垣が大きく崩れるなどの被害を受けた際に、太い根が切断され、現在は根本に大きな虚が出来るほど腐朽が急激に進んでいる。
 今年1月初旬に樹木医2人の診断を仰いだが、ケヤキは根本の虚が木の最上部まで続き、ほぼ1割程度しか生きていないため、今後も樹勢回復の見込みは低く、自然災害などによる倒木の危険性が高く「伐採もやむなし」の診断が出た。
 町内会でもこれまで、定期的な枝の伐採による木本体の負担軽減、肥料の散布などのほか、2本のケヤキを金属ワイヤーでつなぎ、地面とも固定して危険性回避に向けた様々な方策を重ねてきたが、腐朽進行に歯止めがかけられず、樹木医の診断を受け入れる結論を役員会で決めた。
 吉田会長は橋本市長に経緯を説明しながら、「伐採は断腸の思いで決議しました」と声を絞り出し、町内会としても無念の思いで決断したことを伺わせた。
 報告を受けた橋本市長は「様々な検討を重ねられた上で安全を最大限に配慮された判断に市としても感謝申し上げます」と町内の決断を支持した。
 今後は神社被災から再建に向けて協力した、須賀川城址の復興をすすめる会メンバーらへの報告を行い、業者との打ち合わせを経て、拝殿左側ケヤキの枝払いと時期を合わせて伐採を行う。時期は現段階で未定だが、なるべく早い段階で行いたいとしている。
 また同町内会では伐採後のケヤキをどう活用していくか具体策について検討も進める。