“地域の宝”を記録映像化 「須賀川三十六景」で共有

地域振興文化

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    仁井田田植踊保存会を記録撮影

 須賀川市は各地に“地域の宝”と呼ぶべき魅力を持つが、あまり市民に知られていない伝統文化や史跡なども脈々と受け継がれている。市は今年度、それらを世界的に著名な葛飾北斎作富嶽三十六景になぞらえ、「須賀川三十六景」と題し、記録映像化を進めている。20日は仁井田小前の学校田で「仁井田田植踊」の様子を収録した。
 長い歴史の中で政治、経済、文化の中心として栄えた須賀川だからこそ持つ、市民が「自慢したい、大切にしたい、遺したい」モノ・コトを広く募集し、市民50人から延べ約90点の応募があった。
 市は今年度から協働のまちづくりを通して市の将来を市全体で共有し、あらゆる人に選ばれるまちを目指す「シティプロモーション」を本格的に始動しており、「須賀川三十六景」撮影・公開を通して、市の魅力を市民が再発見しシビックプライド醸成につなげたい考えある。
 市内9地区の季節ごとの魅力を春夏秋冬に分けて36点選定し、今春は市内各地のサクラ名所の動画撮影からスタートした。
 募集した地域の宝とエピソードは、四季折々の須賀川の魅力が存分に詰まっており、須賀川三十六景で収録する際には、その「宝」が最も美しく映える季節に合わせて記録する。
 単純に36カ所を映像化するわけではなく、エピソードに沿った複数箇所の映像を1本の動画にまとめるパターンもあり、「松明あかし」などはゆかりの地を巡りながら、当日の五老山山頂で行う松明点火までつなげるなどが想定されている。
 スタートした記録映像収録の撮影終了は冬が撮り終わる年内いっぱいが見込まれるが、新型コロナ感染状況によって終了時期がずれ込む場合もある。
 「須賀川三十六景」は、動画配信サイトや市ホームページなどで年度内の公開を予定している。
 20日に収録が行われた「仁井田田植踊」は、江戸時代の元禄年間頃に出来たとされ、平成4年に市指定無形民俗文化財指定を受けた。
 現在も地域住民らの保存会が唄い踊り継ぎ、稲の順調な生長を願い、豊作を祈る踊りとして仁井田小や仁井田地区の運動会などで披露されている。
 江戸時代の俳聖・松尾芭蕉が奥の細道で当地を訪れ、耳にした田植え踊りを詠んだ「風流のはじめや奥の田植え歌」は当地の田植踊ではないかとの説もある。
 収録には田植踊保存会メンバーらと仁井田小5年生約60人が参加し、揃いの早乙女衣装で唄い踊る様子が記録映像に収められた。

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