小黒さんから被害状況を聞く橋本市長 凍霜害被害を受けたリンゴの花
須賀川市の果樹農家は4月に2度発生した凍霜害で2億円弱程度の深刻な農作物被害を受けた。市は24日、被害農家への支援策をまとめるため、橋本克也市長と安藤基寛副市長が前田川地区の農家小黒辰次さん方の果樹畑(30㌃)を現地視察して被害状況を調査し要望などを聞いた。
市内は4月11日(最低気温氷点下2度)と同27日(0・5度)の2回、深刻な凍霜害を浜尾、和田、前田川、江持、西川、越久、森宿、仁井田、大桑原、塩田、小倉地区の広範囲で受けた。農作物被害は日本ナシ45㌶9643万8000円、リンゴ40㌶6586万7000円、モモ8㌶2967万4000円、カキ3㌶266万9000円、オウトウ1㌶101万8000円で、合計97㌶1億9566万6000円にのぼる。
24日の現地調査には橋本市長、安藤副市長、市農政課とJA夢みなみ職員らが同行し、小黒さんから直接状況を確認した。
小黒さんによると前田川地域は阿武隈川沿いに果樹畑が広がり、「川沿いはどうしても冷えがきつくて空気の対流も悪く霜被害を受けやすい。今年はかろうじて実がなっても商品として厳しい」と説明した。
JA職員によると今年は3月が温かく花の生長が例年に比べて早く、4月に霜が降りる「最悪のパターン」と話し、種になる雌しべが凍りつき実がならない被害を受けた。「ここまでの凍霜害は初めてではないか。おそらく9割5部近くが収穫にならない。ひどすぎる」と眉をひそめていた。
小黒さんは「実がならなくても木の消毒など毎年やっている通常の世話のサイクルはしっかりとやらなくてはいけない。的確な営農支援を受けられればいいが」と要望した。
JA職員も「(降雹被害のように)木が弱っているわけではないので、樹勢回復ではなく実をつけるためのエネルギーをどうコントロールするか、樹勢調整の取り組みが必要となる。新たに購入するものでなく、すでに購入済みでこれから使う農薬費用の助成などを検討してもらえれば」と話していた。
県の凍霜害支援策は25日にも発表される見通しで、橋本市長は「市としてもどんな支援ができるかを考えている。須賀川の果樹は品質もよく、一大産地なので深刻な被害を受けた農家の皆さんを支えていきたい」とし、市としても31日の定例会見で支援策を公表する考えを示した。