相澤選手を応援するサルビアの花
57年ぶりの東京オリンピック開催まで2カ月を切りましたが、コロナ禍における開催の是非が国民を二分する議論を呼んでいます。一部否定派の批判の矛先はアスリートにも及び、風当たりが強まりつつあります。阿武隈時報社はこうした状況にあるからこそ、須賀川市出身で陸上男子1万㍍に内定している相澤晃選手(23)=旭化成=に、地元ならではの温かいエールを伝えたいと、6月30日まで応援メッセージを読者の皆さんから募集します。
メッセージは200字までで、一部を紙面に掲載するほか、投稿いただいたすべてのメッセージは旭化成陸上部に届けます(ただし状況によって掲載を中止することもあります)。
また相澤選手のご好意で、抽選で10人に相澤選手のサイン色紙をプレゼントします。
応募先は阿武隈時報社「相澤晃選手応援メッセージ係」、〒962―0848、須賀川市弘法坦15―1に郵送、もしくはメール(abukuma@bz04.plala.or.jp)。住所、氏名(紙面上でのペンネーム可)、年齢、職業(学校・学年)、連絡先をご記載ください。
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相澤選手は平成9年7月18日に旧長沼町に生まれた。小学3年生の時に母親の勧めで「長沼ランナーズ」に入団し、長距離走を練習し始める。中学時代には「ふくしま駅伝」の強化選手に選ばれ、当時チーム監督を務めていた故芳賀敏郎さんが創設した「円谷ランナーズ」では現在までライバル関係が続く住友電工の阿部弘輝選手と一緒に切磋琢磨した。
ひたむきに練習に打ち込む姿勢は徐々に成果として現れていき、中学3年時には全国中学陸上男子3000㍍に出場、8分50秒2で10位入賞する活躍をみせた。
高校は学法石川高に進学し、松田和宏監督から指導を受けた。ケガに苦しみ、大会での成績は振るわなかったが、仲間とともに努力を続け、地力をつけていった。
東洋大学での4年間は輝かしく、日本陸上界のホープとして全国から注目を集めるようになった。特に箱根駅伝で2年連続区間新記録を樹立した走りは多くの陸上ファンをわかせた。またナポリで行われた「大学生のオリンピック」ユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルを獲得し、オリンピック出場への期待も高まった。
卒業後は旭化成に進み、昨年12月4日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われた東京オリンピック選考を兼ねる日本選手権長距離種目男子1万㍍に挑んだ。奇しくも故芳賀監督の命日にあたり、相澤選手は「忍耐」の走りを発揮し、27分18秒75の日本新記録で優勝し、オリンピック内定をつかみ取った。
今月9日に東京国立競技場で行われたオリンピックのテストイベント「READY STEADY TOKYO」では男子5000㍍に出場した。
出場前、自身のツイッターで「こんな状況の中でレースに出場することは正しいとは言えないけれど与えられたこのチャンス、目標のためにつかみ取ろうと思います」と決意表明し、本番では自己ベストの13分29秒47で3位入賞した。
大会後は「応援ありがとうございました。練習量も調子もまだまだでしたが、なんとか粘りきって自己ベストを更新しました。残り2カ月半で調子を上げたいと思います!」とコメントし、本番の男子1万㍍に意欲を燃やす。
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相澤選手は大学卒業前の昨年1月22日、母校の長沼中を訪れ、後輩たちにこれまでの経験を語り、「一番大切なことは、家族や友だち、応援し支えてくれる人に感謝すること。そしてその感謝をしっかり言葉に伝えること。思っていても言わなかったら、思っていないことと一緒になってしまうので、しっかり言葉で感謝を伝えてください」と励ました。
昨今の東京オリンピック開催に関するアスリートへの批判的な視線は、裏返せば過剰な期待である。
本来負うべきでない過剰な期待が招く悲劇は当地域で広く知られている。
現在、市内に並ぶサルビアの花には、円谷幸吉・レガシーサルビアの会が円谷選手の顕彰と、相澤選手への応援の気持ちが込められている。
こうした取り組みのように、大会の賛成反対に関わらず、この苦境の中で迷いながらも奮闘する当地出身の若者に、温かい言葉を送りたいというのが企画した弊社の思いである。