「田善顕彰版画展」をPRする米倉会長と郡部専務理事(右)
須賀川出身で江戸時代を代表する銅版画家・亜欧堂田善を顕彰する須賀川商工会議所青年部(米倉攻会長)の「田善顕彰版画展」は、2年ぶりに市内小中学生から作品を募集する。第32回ポスターが完成し、米倉会長と郡部司専務理事は9日、商工会館で版画展実施をPRした。
昨年は新型コロナの影響で臨時休校措置がとられたことなどを受け、やむなく中止したが、米倉会長は「昨年は悔しい思いをした。今年は会長を引き受けるときに、必ず田善はやるの強い思いで引き受けました。表彰式などは例年通りとはいかないかもしれませんが、各学校の皆さんにはぜひともご協力をお願いしたいと思います」と話した。
応募締め切りは来年1月7日。募集対象は市内の小中学校に通う児童生徒で、原則A3判以内の版画作品を1人1作品(タイトル自由)を募集する。作品は黒色の台紙に貼り付け、出品カードを糊付けする。
審査は深谷滉須賀川美術協会長らがあたり、第1次・第2次審査を経て、最高賞の田善賞などを決める。作品は来年2月6日から10日までtetteに展示し、表彰後に田善賞作品は市立博物館で保管する。
なお表彰式は2月6日に予定しているが、新型コロナ感染状況により、動画配信なども視野に入れつつ平年通りの実施も含めて検討している。
問い合わせは須賀川商工会議所内の青年部事務局(℡76―2124)まで。
亜欧堂田善(本名永田善吉)は現在の諏訪町のあたりで生まれ、江戸時代後期に活躍した洋風画家・銅版画家。幼少期から絵が得意で、肉筆画も遺されている。
白川藩主松平定信に御用絵師として召し抱えられ、長崎や江戸で銅版画の技術を学び、遠近法や陰影法などの洋風画法を取り入れ当時の日本を代表する銅版画家となった。作品は葛飾北斎や歌川国芳らの浮世絵にも影響を与えたとされる。
市立博物館所蔵の「太田貞喜の田善コレクション82点」は県重要文化財指定、「銅版画東都名所図(二五図)」と「銅版画見本帳(十二図)」の作品原板5枚も国重要文化財指定を受けた。代表作は「新訂万国全図」など。
同青年部は須賀川が誇る偉人の偉業を永久に語り継ぎ顕彰する事業として、毎年「田善顕彰版画展」を開き、須賀川の次代を担う小中学生から版画作品を募集し、普及啓蒙活動に取り組んでいる。