盆明けから釈迦堂川の堤防かさ上げ工事

防災

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    伐採が決まった館取町側のサクラ並木

 県中建設事務所が進める須賀川市の釈迦堂川橋から西川橋まで約800㍍にわたる堤防かさ上げは今月中に計測調査が行われ、8月お盆明け頃から本格的に工事が始まる。受注した渡辺建設は左岸(北側)から着手する予定で、2年前の台風19号で大きな被害を受けた舘取町側の右岸は秋以降から始める。工事に伴い、堤防に並ぶサクラ並木のうち、右岸側はほとんど伐採されることになる。住民らはサクラの思い出を残すため何らかの活用を求めて要望する考えだ。
 堤防は2年前の台風19号で越水した高さを踏まえ、現況から最大65㌢高くするほか、法面の被覆や堤防補強工事、堤防上での水防活動円滑化のため一部拡幅なども行う。
 右岸は現在土のうが積まれているが、工事を進めるためには撤去せざるを得ないため、住民の安全に配慮し、まずは左岸を進めつつ、今年の大雨シーズンの防災は土のうを活かし、秋以降に着手する。工期は来年3月までの予定。
 工事に伴い、右岸側のサクラ並木のほとんどは伐採されることになる。県中建設事務所によると、住民からできるだけ残してほしいという要望を受け検討を進めてきたが、舘取町のサクラは左岸などと異なり、堤防の上に植えられており、橋の近辺などを除き伐採せざるを得ないと判断を下した。
 「安全で安心して暮らせる町づくりの会」の鈴木重会長は「何十年もかけて大きくなった木を思うと、住民の誰もが寂しいだろうが、安全を第一に考えれば仕方がない」と防災の強い意思をにじませる。
 近くに住む6歳男児と40代の母親は「毎年花見を楽しんでいたのでがっかりだけど、2年前に1階が水没したことを思えば、かさ上げは絶対にして欲しいし仕方ない」と複雑な表情をみせた。
 一方で「夜などは根っこで転びそうなことがあるので、これまでも危険だった」「虫の害やサクラのシーズンに路上駐車する車がなくなるなら、それはそれでありがたい」という声も耳にするが、根底にある「何よりも安全が最優先」という思いは同じだ。
 住民らはサクラの思い出を残すため、今後市で整備する西川中央公園のベンチやテーブルにサクラを活用すること、木を植えても問題ない堤防の拡幅地点で記念植樹するなどアイデアを出し合い、今後県などに要望していきたい考えだ。