須賀川の災害史と向き合う来館者たち
須賀川市立博物館の企画展「乗り越える 災害と須賀川」とテーマ展「古文書からみた災害と須賀川」は24日から始まり、これまで幾度となく当地方を襲った災害・疫病と、その度に乗り越えてきた人々の歩みを振り返る資料が、コロナ禍や異常気象にさらされる現代を生き抜くためのヒントを教えている。
両展は共通する「災害と須賀川」をテーマに、同一会場で計約80点の史料を展示する。会期は9月5日まで44日間。
企画展は東日本大震災から10年が経過した節目に、過去の地震や風水害、火災、飢饉、疫病など古代から現代にかけ当地方で起こった災害を「痕跡」「記録」「行動」「祈り」の4つに区分した資料を展示することで、危機に向き合ってきた人々の知恵や思いを知り、今後の災害対策に活かす。
須賀川を襲った災害の年表や須賀川城跡の調査で発掘された過去の災害を示す資料、江戸時代以降の消防道具として羽織や手押しポンプ、ガラス製の消火ボールなどが並ぶ。
また昭和33年4月に古戸地区の大半を焼失し、当時の澤田三郎市長が「災厄は人智によって防ぐべし」などの言葉を残した古戸大火の資料や江戸時代の飢饉で代官の内藤盛昌が間引きを防ぐため、自費で「赤子養育金」を支給していたことを示す資料などで思いも想像できる。
このほかまじないや魔除け札、現代のハザードマップなど関連資料も展示する。
テーマ展は東北大東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門との共催で、同部門が再整理を進める当地方の近世古文書群から、災害に関連するものをピックアップした。
桑名・小針・廣田家など江戸時代の庄屋や名主が残した文書をもとに、水を巡る争論、洪水や水乞い、凶作・不作における年貢上納の願書等、暮らしを守るためのやり取りを伺い知れる資料と解説パネルが並んでいる。
会期中の催しは、31日に藤沼湖周辺を巡る「すかがわ歴史散策」を参加費300円で行う。事前の申し込みが必要となる。
開館記念日の1日午後1時から4時まで、須賀川消防署とのコラボ企画「夏休み防災体験」を実施する。
スタンプラリー方式で水消火器、119番通報訓練、防火衣着装体験で防災に関する知識を身につけ、すべて参加すると記念品がもらえる。
野本禎司東北大助教を迎えた講演「廣田家文書から 水害と水争い(仮)」は8月7日午前10時半から、博物館学芸員のギャラリートークは21日午前11時から開く。ともに参加無料。
開館時間は午前9時から午後5時まで。観覧料は大人200円、大学・高校生100円、中学生以下と65歳以上、障がい者手帳所持者は無料。
8月1日の開館記念日、21日の県民の日は入館無料。
問い合わせは同館(℡75―3239)まで。