「須賀川から世界へ」 相澤選手 30日午後8時半に出走

スポーツ

  • 画像
    期待を背負い大会に臨む相澤選手(写真は日本選手権)

 東京オリンピック陸上競技男子1万㍍は30日午後8時半頃から、オリンピックスタジアム(国立競技場)で行われ、須賀川市出身の相澤晃選手(24)=旭化成=が大舞台でのレースに挑む。
 相澤選手は昨年12月4日、日本選手権長距離種目男子1万㍍を27分18秒75の日本新記録で優勝し、オリンピックの出場をつかんだ。
 奇しくも同日は相澤選手が中学生時代、円谷ランナーズやふくしま駅伝須賀川市チームで指導を受けた故芳賀敏郎さんの命日だった。きっと芳賀さんが天国から背中を押してくれた―。相澤選手と当時の関係者らはそんなふうに喜びを分かち合ったという。
 相澤選手が長距離走を始めたのは小学3年生の頃、太っていたこともあり、母の勧めで長沼ランナーズの練習に参加した。
 円谷ランナーズには平成23年1月、中学1年で1期生として入団した。「楽しく走れば速くなる」をモットーに掲げる同団で、芳賀さんらコーチ陣の熱心な指導を受けた。同期には阿部弘輝選手(住友電工)もいた。
 当時をよく知る水野武現代表は「(相澤選手は)最初は練習についてこれなかったが、同級生の阿部選手と競り合っているうちに強くなっていった」と振り返る。「芳賀さんはよく『考えなさい』と口にし、より速くなるための練習も自分で考え、勉強もおろそかにしないことを指導していた。相澤選手はそれを忠実に守り、力をつけていった。今の成長には芳賀さんの教えが生きてつながっている」。
 練習を積み重ね中学3年時に全国中学陸上男子3000㍍に出場し、8分50秒2で10位入賞の活躍をみせた。
 その後、学法石川高で阿部選手や田母神一喜選手、遠藤日向選手らと切磋琢磨し、東洋大では4年時に大学三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)の全てで区間賞を樹立し、大学生の国際大会ユニバーシアードハーフマラソンでも金メダルをつかんだ。
 オリンピック内定後は世田谷陸上競技会男子3000㍍で日本歴代6位となる7分49秒66で優勝、日本陸上競技選手権大会男子5000㍍では4位でゴールした。
 北海道での合宿中に開かれた須賀川市のオンライン壮行会で「(オリンピックに向け)今はドキドキとワクワクが半々くらいです。どれだけ良い状態に持っていけるかが課題で、自信をもった顔で本番を迎えたいです。代表としてのプライドを持ち、26分台の自己ベスト達成、そして入賞を目指し、諦めずに頑張ります。応援よろしくお願いします」と決意を語っていた。
 須賀川市、地元長沼の相澤晃応援団、阿武隈時報社などが届けた市民からのエールを胸に、いよいよ本番の時を迎える。
 映像はオリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」で生中継される。
 「第2の円谷」を目指し、今や「第1の相澤」として子どもたちのあこがれとなった須賀川の若者が、世界一を決める大勝負に挑む。

イベント情報バナーイベント情報バナー