御神火をトーチに受ける太田さん ミニチュア松明から火をランタンに移す橋本市長 伝統の「須賀川の火」が灯る松明とランタン
24日に開幕する東京2020パラリンピック開会式に向けた聖火フェスティバルの須賀川市種火起こしは11日、宮先町の二階堂神社で400年以上の歴史と伝統を持つ松明あかしの「御神火奉授式」の手法を再現して採火した。橋本克也市長は「須賀川が誇る伝統の思いとともに種火を届けます」とコメントした。
須賀川での採火は二階堂神社本殿で同神社を維持管理する宮先町町内会(吉田勝昭会長)が見守る中で須田智博神炊館神社禰宜が神事を行い、巫女の菅野千尋さんが炎を鈴で清め、須田禰宜が岩瀬郡市陸上競技協会所属の御神火隊の太田元紀さんが持つトーチに火を移した。
本来の御神火奉授では、ランナーは松明が立つ翠ケ丘公園五老山山頂まで走り届けるが、御神火隊は今年も松明を制作する松明をもりたてる会の佐藤貴紀会長に火を移し替えた。
その後は大松明代表の安藤康平さん、姫松明代表の草野智美さんに分火し、境内に用意されたミニチュア松明に合火、橋本市長が専用のランタンに「須賀川の火」として灯した。
奥州須賀川松明太鼓保存会の太鼓演奏が流れ、松明あかしさながらの雰囲気を演出した。
須賀川の種火は中通り地区の炎とともに、13日に福島市で行われる採火式に届けられ、最終的に郡山市で全県下で採火した炎と合わせて一つになる。
鏡石町は9日に火起こしを行った。
パラリンピックの聖火は大会発祥の地イギリス(ストーク・マンデビル)と日本国内47都道府県で採火する。
福島をはじめ全都道府県で集めた火は20日夜に東京都へ集められ、集火式で全都道府県代表が各地の聖火を掲げて統合する。
東京2020パラリンピック聖火リレーは、「Share Your Light―あなたは、きっと、誰かの光だ。―」をコンセプトに、社会の中で誰かの希望や支えとなっている多様な光が集まり出会うことで、共生社会を照らす力にしようとの想いを表現している。
なお今年の松明あかしは11月13日に昨年同様、伝統行事の継承を主眼に、松明をもりたてる会が作った松明1本を五老山山頂で燃やす。会場周辺の入場制限を行うほか、松明行列など関連イベントは全て行わない。
協力して火起こしに挑戦する子どもたち 燃え上がる炎からキャンドルに火を移す子どもたち
あきらめない先に達成感 天栄村 マイギリ式で種火灯す
天栄村の東京2020パラリンピックの種火おこしは11日、村屋内運動場で村内全小中学校の代表児童・生徒計11人がマイギリ式で共生社会を照らす希望の火を灯した。
久保直紀教育長のあいさつ、村担当者の説明を受けた後、子どもたちは学校ごとのグループに分かれ、木の摩擦で発火させる火起こしに挑戦した。
湿度の関係などもあり苦戦を強いられたが、子どもたちは汗をかきながら一心不乱に棒を擦り続けた。
各校の校長や保護者、職員らも力を貸し、約1時間半でようやく湯本小グループが着火に成功すると歓声と拍手が沸き起こり、あきらめずに続けた先にある達成感を全員で共有していた。
火は天栄幼稚園の園児が事前に作ったパラリンピックのシンボルカラー(赤・青・緑)のキャンドルに移され、そこから天栄中3年の佐藤愛彩さんが代表してランタンに納火した。
村幼小中校長会長の大河原正道大里小校長は「無事に火がつき、皆さんの良い思い出になったと思います。共生社会の実現は、話しかけて手を差し伸べるという第一歩から始まります。パラリンピックをきっかけに、皆さんも自分自身で考えてみてください」と子どもたちに話した。
参加した吉田智晴君(広戸小6年)は「火起こしは楽しく、パラリンピックの聖火につながることがうれしいです。ボッチャを体験したことがあるので、競技を見るのも楽しみにしています」と述べた。
会場には児童・生徒約350人が寄せたメッセージカードが飾られ、「金メダルが取れるようにがんばってください」「苦しくても最後まであきらめずに!」「一人ひとりの想いが一つになって、大会が成功することを願っています」など、共生社会実現やパラリンピック成功、選手の活躍を応援する声が集まった。
メッセージカードは後日、文化の森てんえいでも展示する予定。