地区の歴史を示す写真が並ぶ会場
天栄村湯本地区の有志によるNPO法人湯田組の「未来に残したい 湯本の三つの宝」展は11月14日まで、地区内にあるトロッコ廃線跡や幹の太さが日本最大のミズナラ、通称「こぶなら」などの写真41点が並び、地区の歴史を解説している。
現在のところガイドブックなどに掲載されていないが、同地区の歴史を語る上で重要な「トロッコ道」「軍馬山の監的所」「こぶなら」を紹介する。
トロッコ道は昭和17年(1942年)から45年(1970年)まで、現在の高齢者コミュニティセンターがあるあたりを起点に、馬尾滝の少し先まで林業のためトロッコが走っていた。
廃車体は回収するはずが、巨岩崩落のため撤去できなかったため現在も残っており、そのほかレール、水力発電施設跡なども現存する全国的にも珍しい遺構として一部愛好者にも知られている。
写真は廃車体など近年撮られたもののほか、働いていた関係者の提供により、当時の労働者たちの写真も並び、暮らしの一端が伺える。
「こぶなら」はトロッコが走っていた当時に住民が発見し、幹がこぶのように変形していることからその名で呼んだ。
今年7月に湯本小の児童と湯本森・里研究所が合同で行った調査で幹周りが7・46㍍と日本最大であることがわかり、今後、村・県・国と段階を経ながら天然記念物の指定を目指す。
なお近年は周囲の森林でナラ枯れなどの病気やシカによる剥皮被害が確認されており、保護のための取り組みも求められる。
軍馬山の監的所はブリティッシュヒルズの敷地内にある。旧陸軍が太平洋戦争終戦まで、同地区に「軍馬補充部」という放牧場・演習場を設置していた名残で、演習で放った砲弾の着弾を確認するための施設だった。
地場産業だった馬産と戦争のつながりや直接的に近代戦争を語る遺構だという。
事務局の星昇さんは「こうした地区の歴史を示す遺構を後世に残していくために、まずは地区や村内、近隣の方に存在を知ってもらい、一緒に保護を考えるきっかけができれば」と願いを寄せる。
観覧は無料で休館は火曜日。開館時間は午前9時から午後5時まで。
問い合わせは星さん(℡94―4130)まで。