本番用の衣装で練習する子どもたち
耐震補強・改修工事で約2年間休館していた須賀川市文化センターは5日、待望のリニューアルオープンを迎えた。初日は松明太鼓保存会小若組嵐の中学生から高校生が12日の県大会に向け熱のこもった練習を繰り広げ、若々しくエネルギッシュな太鼓の音が、文化の殿堂の再開を喜ぶように鳴り響いた。
工事は2年前の7月から石本建築事務所の設計・工事監理、熊谷組・横山建設特定建設工事共同企業体の施工で着工した。
建物の耐震性向上や大ホール・ホワイエ天井の耐震化により安全性が増しただけでなく、大ホールの座席大型化や照明LED化、エントランスの自動ドア、風除室設置、トイレ全面改修など快適性が一段と改善され、誰もがより利用しやすい施設に生まれ変わった。
今年7月から利用申し込みも再開し、待ち望んでいた各団体からの申請が相次いでいる。
須賀川市旧庁舎のシンボルであった故佐藤義重さん制作のブロンズ像「空へ(原題・AIKOの空)」も施設入り口に移設され、来館者の出迎え・見送りをするような優しいまなざしを送る。
駐車場は須賀川アリーナとの共有スペースに約260台駐車できるほか、建物裏手の専用スペースは現在も工事中だが、完成に向け急ピッチで工事が進んでいる。
リニューアルオープンに合わせた施設のPR動画も今年度中に完成する見込みで、完成後は市ホームページやユーチューブの市公式チャンネルなどで配信する。
リニューアルオープン初日はバイオリニストで牡丹観光大使のNAOTOさんを迎えた記念コンサートが行われる予定だったが、新型コロナの影響で中止した。
空いた利用枠に手を挙げたのは松明太鼓小若組嵐だった。同団体は12日に本宮市のサンライズもとみやで行われる日本太鼓ジュニアコンクール県支部大会に出場する。
昨年はコロナ禍で練習ができず出場を辞退したため、子どもたちにとって2年ぶりの大会であり、高校3年生には上位大会を目指す最後の大一番となる。
子どもたちを指導する祓川千寿さんは「普段はふれあいセンターで練習しているが、本番前に市文化センターの大ホールで練習できたことは本当にありがたい。客席がある本番の雰囲気を疑似体験できたことで、いい経験になった。こういう施設があることは、市民にとって大変ありがたい」と感謝をみせた。
最後に子どもたちは大会用の衣装に着替え、保護者の前で本番さながらの演奏を披露した。これまでの練習の集大成を思わせる太鼓の音は、市文化センターの新たなスタートにふさわしい響きとなった。