須賀川の俳祖・等躬命日偲ぶ「等躬忌」で清掃や墓参 11月15日から

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    風流のはじめ館そばに設置された等躬像

 須賀川俳句文化の祖として知られる相楽等躬は正徳5年(1715年)11月19日に没した。市の和文化発信施設の風流のはじめ館(本町)は開館1周年に合わせて、関係団体も参加して「第1回等躬忌の集い」を同15日から12月6日まで催す。市内の芭蕉・曽良・等躬像のお清めや長松院の墓前お参り、連句会などを企画している。
 相楽等躬(1638~1715)は、須賀川宿で問屋業を営む豪商で当時の須賀川俳壇の中心的人物。陸奥の歌枕に通じ、各地に広い人脈を持ち、遊歴の文人墨客をもてなした。
 俳聖松尾芭蕉がおくのほそ道で須賀川に7泊8日したのは、芭蕉が等躬を訪ねるためと云われる。
 等躬は芭蕉が宗匠立机(俳諧師が宗匠となること)した際に行われた興行に句を寄せており、旧知の中であったこともうかがわれる。
 今年は等躬が没してから306回目の命日にあたり、先人たちが俳祖の忌日を「等躬忌」と称した思いを継承し偲ぶ。須賀川が全国に誇る俳誌「桔槹」創刊に尽力した矢部榾郎は「栗やいて小さきまとゐや等躬忌」(昭和4年)、道山草太郎は「俳諧にこの町古し等躬忌」(大正14年)の句を詠んでいる。
 風流のはじめ館「等躬忌のつどい」は、桔槹吟社、須賀川史談会、須賀川知る古会、須賀川ふるさとガイドの会、NPO法人チャチャチャ21、本町町内会が協力する。
 等躬忌当日は午前9時からおくのほそ道ゆかりの軒の栗庭園、可伸庵跡、風流のはじめ館隣接の等躬の庭に建立された芭蕉・曽良・等躬像の汚れを白布でぬぐい落とし、周辺を清掃する。午前10時半から相楽家菩提寺の長松院にある等躬の墓前を参拝し献花する。
 風流のはじめ館は11月15日から12月6日まで、等躬ゆかりの作品を館内展示する。巻子芭蕉・曽良・等躬三子三筆詩箋(市指定有形文化財)は平成30年の市立博物館等躬生誕380年記念展以来の一般公開となる。短冊「あの辺りは」と「梅飛んで」とともに等躬忌前後の11月17日から23日に限定公開する。ほかにも葱摺、伊達衣、蝦夷文段抄が並ぶ。
 26日には等躬が芭蕉を迎えた際に行った連具に挑戦する「初めての連句」を同館郷学の間で楽しむ。連句は桔槹吟社の指導のもとで通常の歌仙の半分(18句)で楽しむ。一般の参加も19日まで受け付ける。
 また俳句会紀の会による「等躬忌」を兼題としたプレ句会「等躬忌を詠む」も実施する。
 各イベントに関する問い合わせは風流のはじめ館(℡72―1212)まで。