新橋は約3㍍かさ上げ、小作田橋と雲水峯大橋架け替え 阿武隈川治水対策

行政防災

  • 画像
    新橋架け替えと堤防かさ上げイメージ
  • 画像
    住民らが参加して治水対策プロジェクト説明会

 令和元年の東日本台風(台風19号)被害から12日で2年。阿武隈川の越水などで浸水被害を発生させた須賀川市の小作田橋と雲水峯大橋の上流架け替えと連結する新道整備に関する計画説明会は同日、東公民館で開かれた。新しい2橋は堤防かさ上げに伴い、現在の橋よりも約3㍍高くなる。雲水峯大橋は令和7年度、小作田橋は令和8年度の完成が見込まれる。
 国は須賀川市や鏡石町などで堤防決壊・越水・浸水など甚大な被害が発生した阿武隈川流域の総合的な防災・減災対策「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」を概ね10カ年で計画し、ハード・ソフト両面で国、県、市町村が連携して取り組む。
 東日本台風では小作田・雲水峯ともに橋が設置されていることで、上昇した水位よりも堤防高が不足し、2橋に接続する道路から越水して浜尾地区などへの大量浸水や浜尾遊水地堤防決壊など甚大な被害が発生した。
 2年前と同程度の台風発生に耐えうる堤防かさ上げに伴い、2橋を架け替える。現在の橋と比べて約3㍍のかさ上げとなり氾濫リスクの低下が見込まれる。
 2橋はともに、現橋より上流部分に架け替え、新設に伴い接続する県・市道の付け替え工事も行う。現在と同じ位置や下流川への架け替えは家屋が多く、山林を整備する必要がある。工事期間中は通行止めなど住民への負担が大きくなるなど時間と費用両面から、上流への架け替えが決まった。 新橋は2車線(対面走行)で道幅は車道3㍍、路肩は両側に1㍍ずつ、歩道は下流側に2・5㍍整備し、接続する新道も同じ規模になる。
 新道整備に係る用地調査は今月から来年2月まで実施し、補償に関する個別協議は用地調査結果の確認後、順次予定している。
 用地協議は来年7月ごろから始まり、小作田橋(農地)と雲水峯大橋関連は令和4年度中、小作田橋(宅地)は令和5年度中の終了を見込む。
 新橋建設と道路付け替え工事は来年11月頃着工し、小作田橋は令和8年度中、雲水峯大橋は令和7年度中の完成・通行開始を計画している。現橋の撤去と堤防かさ上げ工事は令和10年度中に完成する。スケジュールは事業進捗によって変更することもある。
 東公民館で開かれた現地説明会には地元住民ら約30人が出席し、スケジュールや用地協議・補償などについて担当職員と質疑応答を交わした。13日は小塩江公民館、14日は大東公民館でも開く。
 阿武隈川緊急治水対策プロジェクトは、本川・支川の抜本的な治水・流域対策を一体とした総合的な防災・減災対策で、阿武隈川に流すことができる水量を増やすため、河道掘削や築堤、堤防かさ上げの強化などを概ね10年で実施していく。

イベント情報バナーイベント情報バナー