収蔵資料を解説する樋口監督 3D映像を初披露した「スカキング」 最優秀賞を受賞した勇仁ちゃん
須賀川市出身で特撮の神様とも称される故円谷英二監督らが生み出した貴重な特撮技術や関連資料を後世に継承すべき文化として収集・保管・補修を目的とした全国唯一の施設「須賀川特撮アーカイブセンター」は3日に開館1周年を迎えた。記念セレモニーや現代特撮の匠の一人・樋口真嗣監督のギャラリートークなどが行われた。
同館はCG技術の飛躍的な向上により、散逸や海外流出などが近年懸念されていた特撮関連資料1000点超を収集し、円谷組をはじめとした高い技術力で生み出された貴重な関連資料を、日本を代表する「文化」として、後世に受け継ぐべく昨年11月3日に開館した。
全国唯一の特撮資料館として多くのファンから注目を集め、今月1日現在で2万8590人が来館している。
同日は同館北側に描かれた巨大オリジナルシルエット怪獣「スカキング」の塗り絵コンテスト表彰式、ウルトラマンシリーズ劇中車展示、樋口監督のギャラリートークを行った。
「スカキングに色をつけよう」は、同館認知度向上作戦第2弾として子ども施設に通う園児らから募集し812点の応募があった。樋口監督らが審査し、元気いっぱいの作品の数々から最優秀賞に村越勇仁ちゃん(4)=大東こども園=、優秀賞に我妻由唯ちゃん(4)=須賀川幼稚園=、佐藤璃衣奈(3)=天泉こども園=、梅田柊奈(5)=プリムラこども園=が入賞した(詳細既報)。
勇仁ちゃんたちに橋本克也市長と樋口監督が賞状と副賞の図書カードをプレゼントし、最優秀賞受賞作品を基に国際アート&デザイン大学校の白石遼夢さんが製作中のスカキング3D映像を初公開した。年末から新年早々の完成・公開を予定している。
また樋口監督が同館収蔵庫でギャラリートークを開き、抽選で選ばれた30人が参加、ウルトラマンタロウに登場する大型機「スカイホエール」や日本海大海戦登場の「戦艦三笠」、万能戦艦「マイティジャック号」などを紹介しながら「円谷監督がいたからこそ今の自分がいる。特撮を日本で最初に生み出しビジネスとして成功させたのは円谷監督」だと偉業をたたえた。
そのほか様々な資料を解説し「これらを使ってどうやって本物に見せるか様々な工夫を凝らしていた。一緒に仕事をしたことはないけれども、我々は円谷監督の影響を受けている。監督が生まれ育った須賀川のまちが私は胸がいっぱいになる。このまちが大好きです」と締めくくった。別室では参加者からの質問に応じ特撮談義に花を咲かせた。
樋口監督は東京出身で、高校卒業後中野昭慶に師事して特殊美術・造形に携わる。平成7年に平成ガメラシリーズ第1弾(大映)「ガメラ 大怪獣空中決戦」で特技監督を務め日本アカデミー賞特殊技術賞を受賞した。同28年「シン・ゴジラ」日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞した。現在は最新映画「シン・ウルトラマン」を制作している。