「飛翔」揮毫に歓声と拍手 ダウン症の書家金澤翔子さん tette市民大学

イベント文化

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    力強く太筆で席上揮毫を披露する翔子さん
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    「飛翔」の2文字を披露

 国内外で幅広く活躍するダウン症の書家金澤翔子さんと母親の泰子さんを講師に迎えた、tetteスクール市民大学「天使がくれた贈り物」は11日、約60人が参加して開かれた。泰子さんは「(翔子さんの)天性の明るさと優しさに何度も救われた」と話し感動を呼んだ。

 講演に先立ち泰子さんの著書や来年のポスターの販売があり、希望者には翔子さんが直筆のサインを入れるなどして好評を集めた。

 初めに翔子さんが巨大半紙で書道パフォーマンスを披露し、力強く太筆で「飛翔」の2文字を揮毫し、落款を押して完成作品を披露すると来場者から大きな歓声と拍手が送られた。

 翔子さんは自己紹介とともに「今日は来てくれてありがとうございます」とあいさつし、30歳から始めた一人暮らしが充実し、地元の商店街住民から温かいサポートを受けて素晴らしいコミュニティが出来ていることなども紹介した。

 泰子さんの講演は「天使がくれた贈り物」のタイトルで、翔子さんとのこれまでの生活から得た感動や苦悩などを明かした。

 微笑ましいエピソードの一つとして翔子さんが超晴れ女だと紹介し、これまで1300カ所以上で書を書いてきたが、雨が振ったのはわずか2カ所だと紹介した。

 また翔子さんの書を見た多くの人が感動してくれるのは、ダウン症であるがゆえに感受性や感性が優しく元気に純粋に育ち、純度の高い魂が感動を呼ぶと話した。

 ある時出会った「神はこの世に不要なものを作らない」の言葉に何度も力づけられたとも話し、翔子さんが持つ天性の明るさや優しさに救われたエピソードなども紹介し会場を感動に包んだ。

 泰子さんは明治大卒後、書家の柳田流家元に師事し、平成2年東京・大田区に「久が原書道教室」を開設した。現在は同教室主宰、東京芸大評議員、日本福祉大客員教授などを務める。

 翔子さんはダウン症の書家として国内外から注目を集め、伊勢神宮や東大寺など著名な寺社仏閣の総本山などで奉納揮毫や個展を開く。バチカンに「祈」を寄贈し、国連本部でスピーチするなど幅広く活動し、近年では東京五輪公式アートポスター制作アーティストに選ばれた。平成25年に紺綬褒章を受章した。

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