「雲の神様」描く作品ずらり 23日まで「島倉二千六ギャラリー展」

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    ワークショップで子どもたちにアドバイスする島倉さん
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    青空や宇宙空間などを描いた展示作品

 ウルトラマンをはじめ多くの日本映画の背景専門画家で「雲の神様」と称される島倉二千六さん(81)=川崎市=の「ギャラリー展」は23日までtetteで開かれている。初日の14日は島倉さんも出席してオープニングセレモニーが開かれた。

 島倉さんは新潟県水原町出身。東宝撮影所入社後、「宇宙大戦争」(1959年)から背景美術を描きはじめ、円谷英二作品のほぼ全てで背景画を描いた。

 特撮映画だけでなく市村崑監督の「犬神家の一族」など多くの映画・テレビ・舞台・CDで幅広い分野で背景画を手がけ、近年は「巨神兵東京に現わる」、「ウルトラマンZ」をはじめ、tetteの円谷英二ミュージアム、須賀川特撮アーカイブセンターにも背景壁画を描いている。

 アーカイブセンター開館にあたり自身が約30~40年前に描き特撮研究所で保管されていた撮影用背景画87枚を寄贈し、今回のギャラリー展は寄贈品の中から厳選した20点を展示した。

 オープニングセレモニーで橋本克也市長が島倉さんに感謝状を贈呈し、「雲一つ一つが様々な表情を持ち、その素晴らしい感性にただただ感動しています。これからも特撮文化の継承発展に向けて一層励んでまいります」と謝意を述べた。

 島倉さんは「素晴らしいギャラリーを作っていただき感謝しています。このような作品を当時は描けたんだなと自分でもしみじみと感心しています」と語った。

 ギャラリー展には「雲と地平線」「入道雲」、「積乱雲」「土星と惑星」など多彩なバリエーションに富んだ空や宇宙などの作品が並び来場者も足を止めていた。

 バルタン星人や航空機のミニチュアも設置され、一緒に写真を撮ると特撮映画のワンシーンを撮影しているかのような疑似体験ができる。島倉さんが雲を描く様子を収録した映像も上映されている。

 また中高生ら20人を対象に空や雲の描き方をレクチャーするワークショップも開かれ、島倉さんは「焦らずに上手に描くのではなく楽しく描いてほしい」「画面をいっぱいに使ってイメージを膨らませて思い切りよく雲と空を描いてほしい」とアドバイスを送った。

 青空と雲を描く実演も披露し、大型スクリーンに映された本物の空のような作品に参加者たちも目を輝かせてていた。