天寿を全うした牡丹に感謝 20日に枯木供養の「牡丹焚火」

イベント文化観光

  • 画像
    中央広場に設置された牡丹焚火の炉

 須賀川が誇る牡丹の天寿を全うした枯木や枝に感謝を込め、炎にくべて供養する「牡丹焚火(たきび)」は、20日午後4時半から須賀川牡丹園中央広場で行われる。枝などを焚く炉が16日に設置され、雨露を避けるためのブルーシートをかぶせて準備が整った。
 牡丹焚火は大正時代に園主で俳人でもあった柳沼源太郎翁が地元の親しい俳句仲間らを招いたことが始まりともされ、原石鼎ら多くの俳人らがその情景を作品に呼んでいる。
 須賀川を訪れた作家の吉川英治もこの光景に深く感銘し、当時執筆中だった宮本武蔵にも牡丹をくべる1シーンが掲載されている。
 晩秋の夕闇が徐々に暮れゆく中で、当初は火の粉をあげる火勢が徐々に落ち着き、赤から紫に炎の色が変わりながら炉のまわりに独特の芳しい香りがほのかに漂う。この伝統的な光景が平成13年に環境省の「かおり風景100選」にも選定された。
 毎年11月第3土曜日夕方に牡丹園で開かれ、前週の松明あかしとともに当地方の晩秋を象徴する炎の催しとして長年親しまれている。
 昨年も市内外から多くの俳句愛好者らが足を運び、牡丹に感謝を込めて焚く情景を楽しみ俳句に詠んでいた。
 今年もコロナ感染拡大防止のため、来場者にはマスク着用の徹底などを求めている。
 当日午後2時から牡丹会館で俳人協会理事の角谷昌子さんを迎えて講演会を開く。角谷さんは東京出身、昭和63年に鍵和田秞子に師事し、句集「本奔流」、「源流」、「地下水脈」を発表、現在は「未来図」同人、英語俳句講座講師、国際俳句交流協会理事などを務める。講演会のみの参加もでき、問い合わせは風流のはじめ館(℡72―2121)まで。
 牡丹焚火は午後4時半から中央広場で開かれ、火入れ式で橋本克也市長と森川光郎桔槹吟社代表が歓迎のあいさつを述べる。柳沼直三牡丹園保勝会理事長、講演会講師の角谷さんらが代表で枯れ枝を炎にくべる。
 牡丹焚火俳句大会は当日が午後6時10分まで、郵送(須賀川市小作田字新町台36―1江藤文子方、牡丹焚火俳句大会宛)は23日までの消印で受け付ける。投句無料。角谷さん、森川代表ら桔槹吟社主要同人らが選者を務め、高得点者に賞品を贈る。
 俳誌「桔槹」来年1月号に掲載するほか、受賞者には連絡する。