天栄村 武隈神社の「お葉つき銀杏」 39年ぶりの村指定文化財へ 保護審議会が24日に答申

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    珍しい「お葉つき」の実がなる武隈神社のイチョウ(今年9月撮影)

 天栄村文化財保護審議会は大里宮下地内にある武隈神社境内の「お葉つき銀杏」の村指定文化財化に向け、24日に村教委へ答申する。村指定文化財(天然記念物)の新たな指定が決まれば昭和57年以来39年ぶりとなる。
 「お葉つき銀杏」は葉の上に実を結ぶ全国的にも珍しいイチョウの変種で、国の天然記念物に指定されているものもある。
 武隈神社にあるものはi推定樹齢250年、樹高32㍍、目張り約5㍍あり、実のすべてが「お葉つき」になるわけではないが、毎年いくつかの変種を実らせている。昭和54年頃に県の「緑の文化財」にも選ばれた。
 この木がある武隈神社は天智天皇の御代、藤原鎌足が常陸国(現在の茨城県)鹿島神宮参詣の際、大里地区の二木の松(ふたきのまつ)と呼ばれる名木を見に立ち寄ったところ道に迷い、イザナミノミコトとイザナギノミコトに導かれたことから、土地の守護神「武隈大明神」とたたえたことが起源とされる。
 「大里」の地名もこの逸話(遭う里)を由来とする。
 武隈神社は1156年(保元元年)に神殿を改修し、1577年(天正5年)再建、1752年(宝暦2年)に改築した。昭和57年に他の文化財とともに村指定文化財となった。
 社の裏山には牛ケ城址(大里城)があり、1590年(天正18年)に須賀川二階堂氏の一族、箭田野安房守義正が約500人の兵で伊達政宗軍約1万人と籠城戦を繰り広げた。この逸話は現在も大里小の児童らが劇として学習発表会で演じるなど、伝承として地域から大切にされており、武隈神社や周辺は村の歴史にとっても重要な場所として受け継がれている。
 答申は高野卓樹委員長が久保直紀教育長に答申書を手渡す。
 なお村は県の文化財指定も目指す考えで、昨年暮れに「お葉つき銀杏」を推薦している。