答申書を久保教育長に渡す高野委員長 葉の上に実るお葉つき銀杏
天栄村文化財保護審議会は大里宮下の武隈神社境内にある「お葉つき銀杏」を村指定天然記念物に指定するため、24日に村教委に答申した。後日、村民への告示をもって指定となる見通し。
「お葉つき銀杏」は葉の上に実を結ぶ全国的にも珍しいイチョウの変種で、県外には国の天然記念物に指定されているものもある。
武隈神社のものは樹高約32㍍、目通り約4・7㍍あり、推定樹齢は約250年とされる。実のすべてが「お葉つき」になるわけではないが、毎年いくつかの変種を実らせている。昭和54年頃に県の「緑の文化財」にも選ばれた。
植えられた由来などの伝承はないが、専門家によると同種のイチョウは国内でも数少なく、特に樹齢が同程度の樹は東京から北海道にかけての地域では極めて貴重と評価できるという。
同神社は戸数約250ある大里地区の鎮守で室田定昭宮司が治め、本殿は昭和57年に村指定文化財(建造物)になった。
神社の創建は約1360年前の飛鳥時代にさかのぼり、藤原鎌足が関わったと伝えられており、境内の背後には戦国時代に須賀川二階堂氏の一族・箭田野安房守義正が武将・伊達政宗との籠城戦を繰り広げた大里城跡(村指定文化財)がある。
そうした歴史的背景を有する場所に長い年月をかけて自生し、目視による樹勢は目立った損傷箇所もなく良好とされる貴重な樹木であることを指定理由に挙げ、指定することで保存・活用すべきとした。
答申書は高野卓樹文化財保護審議会委員長が久保直紀教育長に手渡した。
村で新たな指定文化財が生まれるのは昭和57年以来39年ぶりとなる。
なお村は県の文化財指定も目指す考えで、昨年暮れに「お葉つき銀杏」を推薦している。