円谷選手の使用シューズ復刻レプリカ アシックスが須賀川市に寄贈

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    復刻された円谷選手のシューズ
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    橋本市長に手渡す千田常務(左)

 57年前の東京オリンピックで円谷幸吉選手が使用したマラソンシューズを提供したアシックス(本社兵庫県、廣田康人社長)は29日、オリンピックイヤーを記念して製作した復刻レプリカを須賀川市に寄贈した。
 同社は今年の東京オリンピックをきっかけに、57年前の大会を振り返り、将来につなげていく活動を展開しており、同シューズもその一環として製作した。
 製作時には阪神大震災被災後も保管されていた円谷選手の足の測定データを参考にし、また当時のスタッフから話を聞き、試作品も確認してもらうなどして現物に近づけた。
 そうする中で、先人がいかに円谷選手に寄り添い、最先端技術を注ぎ込み、試行錯誤の末に完成させていたか、再認識したという。
 同社(当時オニツカ社)が円谷選手に提供したシューズは、つま先に補強がないのが特徴で、これは補強することで生じるミシン跡を円谷選手が嫌い、より足にフィットすることを重視した工夫が現れている。
 靴底には特殊ゴムスポンジを採用し、その厚さも好みに合わせミリ単位で調整がなされた。
 アッパー(足の甲の部分)は綿布と革製の2種類を作り、本番で円谷選手は革製を使用した。
 そのため寄贈品が展示される円谷幸吉メモリアルホールには、本番で使用した現物の革製シューズと、練習や別の大会でも使用した綿布製のシューズ(復刻レプリカ)が一堂に会することとなる。
 復刻レプリカは経年劣化を再現した1足と通常の1足の計2足を作り、市に寄贈したものと同社のミュージアムに飾るものの計4足しか存在しない貴重な資料である。
 寄贈は千田伸二常務が市役所を訪れ、橋本克也市長に手渡した。
 千田常務は「前日にメモリアルホールを見学し、当時の資料に感動を覚えた。収蔵されている本物のシューズと復刻レプリカが並ぶと思うと喜ばしい」、橋本市長は「復刻レプリカは同館にとって貴重な財産となる。このホールを通じて次の世代の育成につなげていきたい」と述べた。
 また円谷選手の盟友・君原健二さんも当時の東京オリンピックで同社提供のシューズを使用しており、2人の好みが異なることで苦労した当時のスタッフの話などで盛り上がった。
 なお復刻レプリカは近日中に同ホールに展示される予定。