新たな定植に挑む従業員たち
福島タネセンター(橋本克美社長)は2日、吉美根地内の試験農場「エフシードラボ」でキュウリの冬季の定植を初めて試行した。今回は排水を循環利用するレーンも設置し、うまくいけば次回以降、排水を最小限にし、環境への負荷を抑えSDGsに貢献できると期待される。
同農場は一昨年から岩瀬キュウリのスマート農業化に取り組んでいる。ソフトウェアによる環境管理、ロボット導入、肥料技術の3つを軸に、より少ない手間で安定した収穫、高い秀品率を実現し、若者や異業種参入を目指す企業にとっても魅力ある農業としてのキュウリ作りを目指している。
今回は1600本を定植した。そこからツルを2~4本仕立てにして樹勢をコントロールし、収穫位置を作業しやすい高さに整える試験も行う。
また一部にLEDランプを導入し、冬季で弱い日光の役割をどの程度補えるか試す。
さらに一部レーンの排水は殺菌して再度流し込む循環システムを作り出す。
農業用排水は一般に化学肥料に含まれるリンや窒素の化合物などが含まれ、これらによる水質汚染は農業全体の課題となっている。
環境省は第一に汚染の未然防止を呼びかけているが、この取り組みの成功は業界に大きな影響を与えうる。
橋本社長は「キュウリ栽培におけるSDGsは何ができるか考え、この方法を試すことにした。成果が上がれば農場全体に導入したい」と意気込みを語る。
今回のキュウリは3月下旬頃から収穫できる見込みで、6月頃までに約50㌧の収量を目指す。