県沖地震から間もなく1年 コロナ禍の被災時 各自治体で工夫凝らす


 須賀川・岩瀬地方で震度6弱を観測し、多くの被害を出した県沖地震から間もなく1年が経つ。現在のコロナ感染状況を踏まえ、災害発生時の避難所設置等の対応を3市町村に聞き取ったところ、陽性者がいた場合、須賀川市では同一の避難所にパーティションなどで十分な距離を保つ、鏡石町は町内の宿泊療養施設に可能な範囲で避難させる、天栄村は避難所に隣接する別施設を用意するなど、対応が分かれた。
 県沖地震は昨年2月13日午後11時7分に発生し、住宅や公共施設、道路などのインフラにも大きな被害を及ぼした。
 当時もコロナ禍で感染対策を求められたが、オミクロン株の流行で、このところの感染状況はこれまで以上に悪化している。国は新型コロナを踏まえた災害対応のポイントをまとめ、各自治体や関係機関はできる限り安全で避難者が安心できる体制の構築を目指している。
 平時は保健所から自治体に陽性者の住所や氏名など通知しないが、災害発生時は陽性者の同意が得られれば、必要な情報を各自治体に報せ、自治体は陽性者に避難場所等の連絡をすることができる。
 しかし、災害の規模や感染状況によって、十分対応できる時間が確保できるとは限らない。
 そのためいずれの市町村も各避難所で検温や体調チェックシートを使った確認を行い、発熱などの症状がみられれば陽性者と同様の場所に避難させるなどの対応をとる。
 避難所での感染を防ぐため、パーティションやテント、消毒液やフェイスシールド、マスクなどの備品も各自治体はコロナを経てより充実させた。
 避難時は、災害というショッキングな出来事もあり、避難者の心のケアも重要となる。
 避難者同士のトラブルを避けるだけでなく、陽性者や体調不良者が不当な差別を受けないようにするため、各自治体は日頃からコロナ関連の差別を決して行わないよう住民に理解を呼びかけている。
 また避難者同士の密集を避けるためにも、小中学校や体育館など通常の避難場所以外に、親戚や友人、知人宅等に避難できないか、平時から相談して分散避難の可能性も検討するよう求めている。
 そのほか、「自らの命は自らが守る」意識を持ち、災害が起きないうちにハザードマップを確認し、被災時に取るべき行動を家族と話し合うなど、各家庭で災害に備えることで、被害を最小限にすることが期待される。

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