情熱的にタクトを振る佐渡さん
須賀川市文化センターリニューアルオープン記念演奏会「佐渡裕指揮 シエナ・ウインド・オーケストラ《ブラスの祭典2022》」は16日に開かれ、佐渡さんの指揮によるシエナの大迫力な演奏に、観客らはコロナ禍の心労を忘れる感動のひと時を過ごした。
コンサートに先立ち佐渡さんが拍手で迎えられながらステージに登場した。「5年前、ピアニストの反田恭平さんとここで共演し、釈迦堂川の桜がきれいだったことを覚えている」と振り返り、演奏する楽曲を解説した後、「コロナで大変な時期が続くが、生の音楽の醍醐味を味わってほしい」と述べた。
吹奏楽の屈指の名曲であり、佐渡さんとシエナの十八番でもある「アルメニアン・ダンス」が壮大な演奏で始まり、異国の青空や豊かな情景を観客に思い起こさせる卓越したハーモニーがホール全体に響いた。
熱狂的なフィナーレで締めくくられると、会場は割れんばかりの拍手で感動を示した。
後半はジェイムズ・バーンズの「交響曲第3番」で、作曲者が愛娘を失った悲しみや絶望感から始まり、変わらずに流れる日常を経て、天国にいる娘に対する祈りのような美しい旋律に至り、生命を賛美するような音楽を演奏しきった。
魅了された観客は、スタンディングオベーションや頭上に掲げながらの拍手で賞賛を送った。
アンコールは「ど演歌えきすぷれす」と「星条旗よ永遠なれ」で、本編とは打って変わってユーモアあふれる曲調や演出で楽しませ、観客も手拍子で参加して音楽の喜びを分かち合っていた。