発掘調査研究成果を説明した報告会 参加者に公開された円筒・朝顔埴輪
須賀川市日照田地内にあり、4世紀(古墳時代前期)の古墳で県内中通り地方で唯一埴輪を持つ、団子山古墳(市指定史跡)の発掘調査成果報告会「団子山古墳調査の10年」は19日、市内外から多くの歴史ファンらが足を運んでtetteで開かれた。昨年8月の調査で発掘した円筒埴輪と朝顔形埴輪を公開した。
平成24年度から始まった須賀川市と福島大学の共同発掘で長年調査にあたった、菊地芳朗行政施策学類教授が講師を務めた。
団子山古墳の共同発掘調査は平成24年から令和3年まで、測量、物理探査、発掘調査などを繰り返し、墳長65㍍、後円部直径55㍍、墳頂直径17㍍、後円部の高さ10・8㍍、前方部長13㍍、前方部前端幅20㍍、くびれ部幅15㍍の巨大な前方後円墳であることが分かった。
出土品などから古墳は4世紀中葉から後葉(古墳時代前期後葉)で、後円部墳頂中心で南北主軸の墓穴(南北6・2㍍、東西2・7㍍)の上に未掘だが50㌢ほどの石が乗っている。中には木棺が埋められていると推定されるが現時点では内容不明で、墓誌が出土していないため埋葬者は不明。
後円部の上部を全周するように直径45㌢の円筒埴輪と35㌢の朝顔形埴輪を交互に立てる埴輪列(推定約90本)も確認された。
菊地教授はこれまでの調査結果から埋葬者は明らかになっていながら、当時の須賀川地方で最も有力な人物が埋葬された可能性を示し、前方後円墳としては中通りで最大であることなどから「(東北地方の)前期古墳と埴輪を研究する上で団子山古墳は重要になる。今後、この調査成果を抜きにすることはできない」と結論づけた。
また昨年8月の調査で団子山古墳から発掘された円筒埴輪と朝顔形埴輪は形状から、当地方よりも南の北関東や東海地方などと共通する特徴を持つことから、製法の伝来などさらなる調査研究が期待される。