パラリンピックに出場する藤原選手(中央)
3月4日から始まる北京冬季パラリンピックアルペンスキー男子座位に出場が決まった天栄村飯豊在住の藤原哲選手(41)=コロンビアスポーツウェアジャパン=に対する激励金交付式は22日、村生涯学習センターで行われ、藤原選手は「これまで支援してくれた関係者たちへの恩返しの気持ちを込めて、競技を楽しんできたい」と意気込んだ。
藤原選手は秋田県出身で、スキー推薦で平成8年に高校に入学したが、同年4月にスキー部の合宿中に転倒し、脊髄損傷で車イス生活を余儀なくされた。
ケガをしてからは車イステニスを行っていたが、32歳のとき、藤原選手にスキー経験があることを知った知人から誘われ、パラリンピック出場経験を持つ選手を紹介されるなどして、岩手チェアスキークラブの体験会に参加した。
「最初は乗り気でなかったが、懐かしい雪上の感触やスピード感が楽しいと感じた。競技を始める前もスキー場を見に行くことはあり、改めてスキーが好きなんだと感じた。それから熱中し、友人とも滑るようになった」。
競技を始めた年から同種目日本代表の森井大輝選手や狩野亮選手と一緒に滑る機会があり、負けた悔しさと「自分に勝てれば金メダルが取れる」という言葉から、藤原選手もパラリンピックを目指すようになった。
今月2日に開かれたジャパンパラ競技大会の大回転第1戦で優勝し、日本障害者スキー連盟の基準を満たして推薦された。パラリンピックへの出場は初めて。
首都圏へのアクセスの良さなどから天栄村に移住したのは平成28年からで、豊かな自然や食べ物の美味しさが気に入っているという。
猪苗代湖周辺のスキー場をホームとして練習を重ねる。
「目標としていたパラリンピック出場は嬉しく、入賞を目指したい。また次回大会も見据え経験を積みたい。競技する姿を通じ、障害を持つ人でもいろんな形でスキーができるということを伝え、興味を持ってもらえたら」と語る。
藤原選手は25日に日本を出発し、3月6日のスーパー大回転、8日のスーパーコンバインド、10日の大回転ジャイアント、12日のスラロームに挑む予定。
久保直紀教育長と瀬和マユミ村体育協会長は「出場決定は努力の成果。大会では力を出し切り、村民や国民に夢や希望を与えてほしい」とエールを送った。