県が昨年10月から施行した県自転車条例(自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例)に基づき、今年4月から自転車損害賠償責任保険への加入が義務化される。罰則は設けていないが、毎年多くの自転車事故が発生していることを背景に、必ず被害者が受けた損害を十分に補償できるよう、利用者、未成年の保護者、事業者等に加入を求める。
同条例は自転車の安全で適正な利用を促進し、歩行者、自転車、自動車がともに安全に通行し、県民が安全に暮らせる社会の実現に寄与するため制定された。
県内の自転車事故のうち約4割は自転車側に違反があり、また歩行者と自転車の衝突事故も毎年発生している。全国的には自転車側が事故加害者となり、数千万円等の高額な損害賠償事例も発生しており、経済的負担の軽減を図るため保険の加入を義務化した。
義務付けられるのは「自転車の運行によって他人の生命または身体が害された場合における損害を填補することができる保険または共済」で、自身のケガの補償などは義務でない。
保険加入が必要となるのは、通勤、通学、買い物等で日常的に自転車を利用する人、未成年の自転車利用者がいる保護者、事業活動で自転車を使う事業者、自転車貸付業者。
事業者の場合は、事業者向けに販売されている「施設賠償責任保険」などの名称の保険商品が要加入保険に該当する。事業活動中にケガを負わせた場合、一般的に従業者自身が個人で加入している個人賠償保険等では補償されない。
すでに加入している自動車任意保険や火災保険等の特約、団体保険などで、自転車事故で発生した相手方に対する補償ができる場合は改めて別の保険に加入する必要はない。
県は加入状況チェックシートやよくある質問などをホームページで公開している。
またこのほか自転車安全利用五則(①自転車は車道が原則、歩道は例外②車道は左側を通行③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行④安全ルール・マナーを守る⑤被害軽減のためヘルメット着用に努める)の徹底や、ながらスマホの禁止、夜間ライト点灯、歩道への駐輪など違法駐輪・放置の禁止など、交通ルール・マナーの遵守を呼びかけている。