湯本中 令和5年3月廃校へ 生徒数ゼロ、75年の歴史に幕

教育行政

 天栄村教委は令和5年度に生徒数がゼロになる湯本中について、新年度いっぱいで廃校する方針で調整を進める。3月の村定例議会一般質問で議員に答弁し、15日には地元区長に説明した。昭和22年から続く75年の伝統に幕を下ろすこととなる。
 同校の現在の生徒数は2年生2人で、新年度に卒業すると翌年度の新入学予定者がいないため、生徒数がゼロになる。
 そのため令和元年度に小中学校のあり方検討委員会、2年度に小中学校統合委員会を開き、有識者や保護者代表者らが方針について意見を交わしてきた。
 また保護者との意見交換の場を昨年度と今年度に1回ずつ設け、アンケート調査も実施するなどそれぞれの希望に耳を傾けてきた。
 3月村議会では大浦トキ子議員、小山克彦議員、熊田喜八議員がそれぞれ学校統合について質し、特に小山議員は湯本地区の学校再編に焦点を合わせて質問した。
 当局は新年度いっぱいで廃校するとの方針を説明し、最も大きな理由として、同校の入学予定者は今後も当面1人から2人、ないし0人で推移する見込みであり、成長期を迎える子どもたちが極めて小規模な学校で学ぶことにより、本来得られるはずの成長の機会が失われる恐れがあることなどを述べた。
 村教委は5月までに改めて保護者に対する説明会と、湯本・田良尾・大平の3地区で住民説明会を開き、理解を求めながら要望に耳を傾ける。
 これまで保護者や地元からは統合を受け入れる声もある一方で、極小規模のためきめ細やかな指導が受けられることなどをメリットと捉え、存続を望む声もあった。
 令和5年度以降、湯本から天栄中に通う子どもの通学手段は村教委で確保する見込みで、保護者の意向に寄り添った最善の支援をしていきたいとしている。
 また一般に小学校から中学校に進学する際、環境等の変化により困難が生じる「中1ギャップ」の問題があるが、少人数の湯本小から比較的人数が多い天栄中に進学した際に問題が生じないよう十分なケアが求められる。
 村教委ではこれまで実施してきた小小連携による学習の機会を増やすなど対策を進め、湯本の子どもたちが天栄中に進学するようになる令和6年度以降に備える。
 湯本中は昭和22年5月、学制実施により田良尾滝上の貯炭庫を仮校舎として創立した。現在の校舎は平成13年に落成した。
 これまでスキーの全国大会出場や子どもファーム活動コンクール全国大会入選など生徒たちが活躍してきたほか、小規模の強みを活かした独自性のある授業を行い、今年度は生徒が商品開発としてクッキーや大福を作り、販売するアントレプレナーシップ(起業家精神)教育などにも挑戦し、注目を集めた。

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