発芽し双葉をしっかりと伸ばす(仮)宇宙牡丹
昨年6月から7月にかけてはるか上空の宇宙ステーションに運ばれ無事帰還した須賀川牡丹園の「牡丹種」は今月、春の陽気に誘われて園内イベント広場北側の専用花壇で発芽した。壮大な宇宙旅行を終えた(仮)宇宙牡丹の開花は約5年、花が定着するまでさらに10年ほどかかる見込みである。
東日本大震災から10年を迎え、一般社団法人ワンアースが中心になって、被災地から世界へ感謝を届ける東北復興宇宙ミッション2021の一環で須賀川をはじめ東北3県の自治体が特産などを記念品として宇宙ステーションへ打ち上げた。
一昨年8月に当時須賀川三小6年の柏倉圭裕君と横山廣太朗君、須賀川三中2年の松谷恵那さん、同3年の小沢駿介君が採取した牡丹種は、諸準備を経て昨年6月に宇宙へ旅立った。
7月に帰還した種は牡丹園で発芽処置を施し、10月に長谷川洋一ワンアース代表理事らを迎えて帰還式を行い、当時須賀川三小6年の山本晃輔君と塩田華魁さん、須賀川三中3年の野沢嶺君と松谷恵那さんらが「宇宙を旅した『須賀川の牡丹』」専用花壇に約20粒を植えた。
牡丹種は4月の陽気に誘われるような形で発芽し、12日には約10㌢の双葉をしっかりと伸ばしてすくすくと生長している。春風に揺れる様子ははかなげに見えるが、牡丹園保勝会職員によると、一般的な牡丹のようなシャクヤクに接ぎ木したのではなく、種から発芽した自根牡丹のため、見た目以上に強く大きく生長することが期待できるという。
市は「宇宙を旅した牡丹」を、今後とも須賀川牡丹園の新しい見どころの一つとしてPRすることで、観光誘客による地域活性化を図っていきたい考えである。
また今年は牡丹園の国指定名勝の指定を受けてから90年の記念の年にあたり、発芽はさらなる話題発信に弾みがつくものと期待される。