多業種の現状を把握した経済緊急対策関係機関連絡会
長引くコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などで地域経済を取り巻く環境は厳しさを増す中、須賀川市は地域の実情に応じて国の緊急対策を基にきめ細かな対策を講じるべく、「経済緊急対策関係機関連絡会」を11日、市役所で開いた。出席者からは深刻な現状と課題など生の声が届けられた。
世界規模での原油高騰や円安進行、資材や穀物など幅広い品目の物価上昇がとどまらず、あらゆる業種の経営状況が時々刻々と悪化をたどっている。
国は先月26日にガソリン価格抑制などをはじめとする原油高騰対策やエネルギー・原材料・食糧等安定供給対策、中小企業及び生活困窮者支援の4本柱とした「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を関係閣僚会議で決定している。
また各自治体が地域の実情に応じて、きめ細かな対策を講じるため、地方創生臨時交付金を拡充する「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を合わせて創設した。
市はこれまで独自経済支援策として家賃や水光熱費、コロナ対策物資購入費補助、プレミアム商品券(総額6億円)の発行など取り組んできたが、今年度は6月に発行予定のプレミアム商品券第2弾(総額7億8000万円)、米価下落対策として稲作農家の生産意欲維持助成金事業、コメ消費拡大で本市出身学生への須賀川産米贈呈、保険料補助事業の3つを市独自パッケージ型対策として予算計上している。
経済緊急対策関係機関連絡会には、市内商工業、農業、雇用、福祉の各分野関係機関から約20人が出席した。
佐久間貴士市経済環境部長が、国の動向や市のこれまでの取り組みなどを紹介し、「現状や課題などについてご報告いただき、組織横断的に情報の共有化を図った上で、どのような支援が必要か、どのような対策が有効なのか意見交換して、市独自の支援策などに反映させてまいりたいと考えています」とあいさつ、現場サイドからの肌感覚としての情報提供を強く求めた。
各担当者がコロナ禍とウクライナ侵攻に係る窮状を訴え、主な声としては運輸・観光分野では人流が激減した影響が大きく、ガソリン代高騰が今後の経営圧迫を懸念した。
建設業は鉄・木(合板)・生コンの資材不足が深刻で、価格上昇のペースが想定以上で「見積もりが出せない」、住宅は坪単価上昇で新築よりも中古購入が増えつつある。
生産業は内需の冷え込みが深刻なダメージとなり、資材購入費増加を販売価格に転嫁しづらい。自助努力でコストカットしているが限界は近い。
商工業は他者との兼ね合いで価格転嫁が出来ず、コロナ収束も見通せず手の施しようが無い状況。
旅館料飲業はメニュー提示している分、価格を上げづらく、ネット販売の仲介料の影響もあり、じわじわとダメージ蓄積されている。
飲食業は食用油価格が2倍に急騰し深刻な状況。大型連休でにぎわいを見せたが、大手サプライチェーン店を除いて夜の客入りは少ないまま。
農業は原発事故の影響で県産米は業務用米が多く、コロナ禍で飲食業が冷え込む現状で収入につながらない。主食用米から飼料米などへの転作などを呼びかけている。
また複数の業種から販売価格上昇で見かけは売り上げが増えているように見えるが、原材料上昇で収入増にはなっていない場合が多く、国・県の支援対象から外れることもあり「対策を図ってほしい」との要望もあった。
市は今回の情報共有と意見交換を踏まえ、今月中旬からそれぞれの所管課で対策を講じ、実情に即した支援策に反映させていく。