カッパに助けられたと話す後村さん
須賀川・岩瀬地域には古くからカッパにまつわる伝承があり、およそ100年前には須賀川市桙衝周辺でカッパが出るとうわさが広まり、新聞にも取り上げられた。そんな中、桙衝在住の後村雪枝さん(75)は「小学生の頃に、カッパに助けられたかもしれない」と話す。
後村さんはある夏、矢田野にかかる富入橋付近の川で遊んでいたところ、おぼれてしまったという。「私の家から富入橋は、小学生の足には遠く、なぜそんなところに行ったのか、誰といたのか覚えていません。でもとても怖かったことはずっと忘れられず、今でも川や海は苦手です」。
当時のおぼれた付近はすり鉢状になっており、子どもが自力で助かるのは難しい。しかし、後村さんは子どものような背丈のシルエットに助けてもらったという。「でも冷静に考えれば、あの場所でおぼれた私を、子どもの力で助けられるはずがありません。だから、もしかしたらカッパに助けてもらったのかもしれません」。
後村さんは最近、前述の古い新聞を紹介した記事と出会った。そこに書かれた「カッパ」は4、5歳ほどの背丈で猫のような顔、とがった口が特徴で、まさに富入橋に現れたとされる。「助けてくれた人にずっとお礼が言いたいと思っていたので、記事を読んで、そうだったのかと思わず泣いてしまいました」。
富入橋に近い桙衝の長沼東部コミュニティセンターには、今月末までカッパが季節の行事を楽しむ12枚の水墨画が飾られている。
桙衝周辺で昔カッパを見たなど心当たりのある人は歴史民俗資料館(℡ 0248-67-2030 )まで。