久保教育長から方針の説明を受ける住民たち
湯本中の今年度末の廃校に向けた住民説明会は13日に湯本地区、14日に大平地区で開かれた。説明を受けた住民からは、「仕方ない」と理解を示す声も出た一方、「地区のシンボルの一つである中学校がなくなるのは喪失感やむなしさが大きい」「廃校以外の方法はなかったのか」といった声が強かった。また地区の未来を憂い、行政側の明確なビジョンを求める声も上がった。
天栄村教委は来年度に生徒数がゼロとなる同校について、数年後も生徒数が1~2人で推移する見込みであることなど、総合的に判断し、今年度末で廃校する方針を固めている。
今年3月の村議会で議員に説明し、区長・保護者説明会、住民説明会を経て、6月村議会で最終決定する。
湯本地区の住民説明会は湯本集会所に18人が集まり、久保直紀村教育長が「極小規模校には様々なデメリットがあり、我々は中学生に知識だけでなく、集団生活で社会性や規範意識、多様な考えの仲間と切磋琢磨し、やり遂げる力を身につけて欲しいと願っている」と述べた。
関根文則教育課長が方針を説明し、「反対する意見も承知しているが、子どもたちのため、一緒に前向きに考えてもらいたい。これからも意見交換を継続し、地区の気持ちに寄り添いながら進めていきたい」と訴えた。
住民が「ここで反対しても判断は覆らないのか」と確認した後、「大人の考えを子どもに押し付けることにならないか」、「村が移住定住に取り組む中で、移住が減るリスクにつながる廃校は、行政の一貫性に欠けるのではないか」、「今後の村の対応で、我々が見捨てられたと思ってしまうとも限らないと強く認識してほしい」など厳しい意見も聞かれた。
また、子どもたちの登下校に送迎車を使用する方針となっているが、移動時間や経済負担を心配する声も上がり、関根課長は「まだ決定はしていないが、できる限り保護者の負担がないように進めたい」と説明した。
廃校後の校舎利用は「地域の意見を聞きながら、担当課で検討を進めることになる。その際は前向きに協議してほしい」と述べた。
大平地区の説明会は10人が出席し、同様に送迎手段に対する要望の声などが聞かれた。
田良尾地区は19日に説明会を開く。