鏡石中3年の増子陽太君は、4月の県南春季陸上競技大会兼公認記録会男子3000㍍で8分40秒51の新記録を達成、 2位以下に50秒以上の差をつけて圧勝した。今夏の全中大会優勝も射程圏と断言でき、まさに「県中学陸上界の至宝」といえる。
陸上との出会いは小学3年生。かがみいしスポーツクラブに入部し、走る楽しさに目覚め、小学6年生で駅伝全国大会に出場し自信が生まれた。
中学入学後は部活動と並行して、毎週水・土曜日にふくしま駅伝に向けた町内の合同練習会にも積極的に参加して足を磨き続けた。
順調に力を蓄えて来たが、昨年は初めて伸び悩みの不調に陥った。大会などで上級生に勝てず悔しい日々を過ごしたが、「『中2だから中3に負けてもしょうがない』じゃないだろう」と奮起し、初心に戻るべく地道に体幹や筋力を鍛えながら気持ちの強化にも取り組み、昨年11月のふくしま駅伝町の部区間賞獲得から一気に努力と才能が花開き、半年ほどで1分近く記録更新した。
現役ランナーで駅伝指導者の石井智大さんは増子君の驚異的な成長を「練習の目的を自分一人で理解して、意識的に能力アップへつなげることができる。普通なら大学生で初めて身につく意識づけが、今から出来ているのに驚かされました」と分析する。
続けて相澤晃選手(24)=旭化成=や遠藤日向選手(23)=住友電工=ら県を代表し全国で活躍する現役選手らと肩を並べ、さらに上回る活躍と実績を期待できる、まさに「至宝」だと断言する。
4月以降の県南陸上大会、郡山シティマラソンで2位以下をぶっちぎり、記録的には全中表彰台レベルのタイムを叩き出したものの、本人は「レース展開を振り返ると、もっとあそこでスピードを出せたよな」とどこか不満気。これからは一人旅が続くレースで、いかに目標タイム(3000㍍8分35秒台)に近づける走りができるか、「記録と結果と過程全てにこだわりたい」。
世界を相手に戦う選手たちのように、自分だけの武器を生かした走りを目指す。イメージはつかみつつあり、「スタートのスピードを維持しながら、最後の1周でさらに1段階ギアを上げる」ため、全中までわずかな期間だが、さらなる速度アップと体力強化を図っていく。
今年の全中大会は福島会場で開催する。「自己ベストを大きく更新する8分35秒台を目標に、表彰台の一番高いところに立って、大会を大いに盛り上げていきたい」と目を輝かせる。
所属する鏡石中男子駅伝チームも、昨年逃した全国出場はもちろん、「メンバー全員、気持ちや技術、スピードでレベルが上っている。地区大会記録を1分以上更新して全てを圧倒したい」とも。
中学卒業後は大学駅伝の花「箱根駅伝」に出場し、トラックもロードも強い、相澤選手のような強いランナーを目指したい。「現役引退してからも、ずっと陸上に携わっていきたい」とも。
18日に鳥見山で行われる岩瀬支部陸上大会から開幕するであろう「増子劇場」。どこまで駆け上がるか目が離せなくなりそうだ。