お諏訪の杜エドヒガン 復興のサクラ北広島で開花 震災の記憶伝える

地域振興

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    北海道新聞掲載の北広島市のエドヒガン

 須賀川の総鎮守神炊館神社お諏訪の杜「エドヒガンザクラ」の種が北海道に渡ってからまもなく8年。今春は開花北限とみられる北広島市内の中島安雄さん(80)が所有する畑の脇で20輪を超える小さな白花が咲き北海道新聞で紹介された。
 神炊館神社エドヒガンザクラは樹齢300年を超えると言い伝えられる巨木群で、全国的にみても市街地に固有種が現存するのは珍しい。「須賀川の宝」として保存会が後世に伝えるべく、サクラ周辺の下草刈りや遊歩道整備など保全活動に長年努めている。
 平成26年秋に日本さくらの会認定桜守で道内在住の浅利政俊さん(91)が東日本大震災の復興を応援し記憶を語り継ぐため、「復興のサクラ」と名付けて種を採取し、自宅庭で大切に育て、翌年春から松前公園などに苗を植樹した。
 復興のサクラを紹介する新聞記事を読み共感した多くの道民も浅利さんを通して各地でサクラを育て、道南地方では3年ほど前から花を咲かせている。
 浅利さんと赤川小6年生、有志らが植樹した函館水道局、笹流ダム公園、松前の丘の上などのサクラも、毎年施肥や手入れを続けた結果、今春は約300の花をつけるまで立派に育った。
 中島さんは浅利さんから譲り受けたエドヒガンの苗を風に負けないように添え木で支えたり、根が飛び出ないように土を何度も持ったり世話を続け、今では樹高5㍍ほどまで元気に生長し、昨年初めて開花を確認した。
 今冬の大雪で枝が折れた患部に防腐剤を塗るなど念入りに手入れをし、昨年を超える20輪の開花を確認した。
 中島さんは北海道新聞の取材に対し「この木を毎年見て、震災を思い出していた。来年はもっとたくさんの花を咲かせてほしい」と答えている。
 浅利さんによるとエドヒガンザクラは寒さなどにより道内で自生出来ないといわれ、「道南より寒い北広島は開花の北限ではないか」とし、須田秀幸神炊館神社宮司への手紙の中で「栽培されている方の、このサクラに注いでいる震災被災者への想いが強いほど、このサクラ育生にかける執念のようなものを感じさせます」と述懐した。
 道内各地に広がりを見せる須賀川産の「復興のサクラ」は、震災の記憶を伝え復興を後押しする道民の想いが海を渡り当地に届いているものと思われる。

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