「これからも自然体験を大切に」養老孟司館長最後の特別講座 ムシテックワールド

教育文化須賀川市

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    図鑑を見せながら質問に答える養老館長
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    功労者表彰を受ける養老館長

 ふくしま森の科学体験センター(ムシテックワールド)の養老孟司館長(84)による「昆虫採集教室」は2、3の両日に開かれ、子ども時代に自然と向き合う経験の大切さを伝え、約20年にわたる館長としての役割を終えた。3日に市から特別功労者表彰を受け、名誉館長職に就いた。
 解剖学者でありながら昆虫採集・研究を続ける養老館長は、平成13年のうつくしま未来博で「なぜだろうのミュージアム」施設展示を監修した。未来博終了後に施設を活用して開館、初代館長を務め、毎年のように来館し、特別講座の講師として子どもたちと触れ合った。
 また今年2月から4月にかけて、20周年特別企画「養老館長特別展」を開き、研究室の再現や自身の標本コレクションなども展示し、多くの来館者が足を運んだ。
 「最終講義」となった今回の昆虫採集教室は予約開始後すぐに満席となり、この日を待ちわびた多くの親子が参加した。
 施設周辺を駆け回り、虫取り網を振る子どもたちの姿に養老館長は目を細め、「このムシは何というムシですか」と質問されると図鑑をめくり、答えを示した。
 養老館長は「子どもたちは大人のように理屈で話したりしない。私は孫と遊ぶような気持ちで自然体で接してきた。約20年前、当時の須賀川市長や県知事から館長を依頼され、ムシに光が当たるならなんでもやろう、という気持ちで引き受けたが、やはり子どもは面白い」とこれまでを振り返る。「この子たちを見ていると、同じように虫取りを楽しんだ自分の子ども時代を思い出す」。
 最後にチョウを傷つけずに捕らえる方法や道具を使う上での工夫などを教え、「長年続けるといろいろな捕り方を覚える。自分の手で試すことが上達には必要だ」とアドバイスした。
 表彰式では橋本克也市長が「本市の科学教育水準の向上や生涯学習の振興に尽力いただいた。多くの人に愛される施設となったのも、養老館長の尽力の賜物」と感謝を伝え、賞状と20年間の思い出をまとめたフォトアルバムを贈った。
 養老館長は「この20年間で科学や生物学も様変わりしたが、科学とは特別なもの、別世界のものでなく、日常とつながっているものだ。ムシテックはこれまで通り自然を体験するフィールドワークを大切に続け、実験室と日常をつなぐ経験を提供し、未来を背負う子どもたちを育ててほしい」と述べた。
 式は多くの親子が見守り、養老館長に温かい拍手で感謝を伝えていた。またファンレターを手渡したり、著書にサインを求めたりする子どもたちもおり、養老館長は笑顔で快く引き受けていた。