手染め技術受け継ぐ「形幸」の作品など展示 風流のはじめ館 テーマ展「江戸小紋を伝えるそのわざ」 10月30日まで

イベント文化須賀川市

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    江戸小紋作品と3代目幸典さん(右)、4代目泰幸さん

 風流のはじめ館のテーマ展「地域の伝統工芸 江戸小紋を伝えるそのわざ」は8日から始まり、10月30日まで江戸時代から伝わる手染め技術を現代まで受け継ぐ「形幸」(弘法坦)の制作作品や関連資料などを多数展示している。
 江戸小紋は武家の正装である裃(かみしも)の柄として発展し、江戸文化が爛熟していく中で町民にも広がりをみせ、様々な型染め技術へと発展した。
 「鮫」「行儀」「通し」の3種は代表的な「三役」とも呼ばれ、動植物や器物、洒落の効いた遊び心ある文様など多様な柄には様々な意味が込められている。
 江戸小紋は生地に型紙をのせて防染糊を置き、さらに色糊で染める繊細な模様付けして描く。一連の工程は引き糊を湿らせる、地張り、型付け、色糊の調整、地染め、おがくずをまぶす、蒸し、水洗い、仕上げ、地直しなどがあり、形幸は100年以上にわたり、機械染め全盛の時代で手染め一本の仕事にこだわり続ける。
 形幸が手がける江戸小紋は、精緻な柄と色合いの美しさに定評があり、3代目の渡辺幸典さんは「福島の名工」の一人にも選ばれた。
 テーマ展に合わせて仮縫いした「天目染小紋 寿光織」をはじめ、古代極型、極行儀などの着物や反物24点、型紙、刷毛、張木、道具類約50点が並ぶ。着物や反物類は作品保存のため1週間程度で展示替えする。
 足を運んだ熱心な愛好者からは、細やかな柄の数々に「素晴らしすぎる」「圧巻」など絶賛する声が聞かれた。
 初日は3代目の幸典さんと4代目の泰幸さんが来場し、展示を前に「初めての展覧会で感動しています。須賀川で長い歴史を守り続けてきた伝統を若い人だけでなく多くの方々により知ってもらえるきっかけになってほしいです」と話した。
 会場入り口のアンケートに答えると、先着30人に形幸染物店「聖香(匂い袋)」をプレゼントする。
 10月13日にワークショップ「染色~型紙で染める江戸小紋」、22日に「東北一敷居がひくい着物おはなし会“カジュアル着物のすすめ”」を開く。要予約で早めの申し込みを呼びかけている。
 開館は午前9時から午後5時まで。毎週火曜日定休。問い合わせは同館(℡ 0248-72-1212 )まで。

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