17本の巨大松明が夜空を焦がす山頂 勇壮な太鼓演奏を披露する保存会
須賀川の晩秋を代表する炎の祭典「松明あかし」は12日、翠ケ丘公園内の五老山山頂に17本の本松明が立ち、奥州須賀川松明太鼓の勇壮な演奏とともに夜空を焦がさんばかりに赤々と燃え盛った。3年ぶりの一般観覧公開に市内外から多くの観覧者が集まった。
松明あかしは戦国時代に須賀川を治めた二階堂家と奥州の覇者伊達家との激戦で落命した犠牲者を悼むため、430余年受け継がれてきた、須賀川の歴史と伝統を象徴する催しの一つ。
コロナ禍で過去2年は松明をもりたてる会が製作した「松明立て」のみで継承してきたが、従来の形での復活と技術継承などを願う多くの市民や関係者の声を受けて、感染防止対策を図った上で、3年ぶりの複数団体参加と一般観覧を解禁した。
松明行列やおもてなし広場、露店など一部のイベントは今年も再開にならなかった。
五老山山頂には松明をもりたてる会、笠原工業、日本工営パワー・システムズ、安部日鋼工業須賀川工場、岩通マニュファクチャリング、須賀川一中、須賀川三中、大東中、稲田学園、須賀川創英館高、清陵情報高、大町青壮年会、自由ケ丘町内会、上町青年会、弘法坦青壮年会、緑町町内会、東町あづま会が製作した17本の本松明が立ち、二階堂神社から採火した御神火が山頂に届けられると、関係者から大きな拍手があがった。
点火を前に実行委員長の橋本克也市長が「松明をもりたてる会をはじめ参加団体の皆さんの協力と奥州須賀川松明太鼓保存会の皆さんの力強い演奏に心から感謝します。来年こそは従来の形での松明あかしが復活できることを願っています」とあいさつした。
御神火からの炎が各団体の本松明に順番に点火されると、多くの観覧者から歓声と拍手があがり、松明太鼓演奏もその盛り上がりを一層鼓舞した。
山頂は一方通行2ルートに分かれて密集状態を避ける工夫を凝らし、多くの観覧者はごうごうと炎を上げながら燃え盛る松明の明かりに顔を照らし出されていた。
またウルトラFMとNHKエンタープライズの協力で、松明あかし会場の様子をラジオと動画配信サイトからライブ配信し好評を集めた。