昨年の牡丹焚火の様子
長寿を全うした牡丹の枯木を感謝とともに火にくべる「牡丹焚火」は19日午後4時半から須賀川牡丹園で行われる。午後4時からは須賀川を代表する俳誌「桔槹」の創刊100周年記念碑除幕式も同園正門前牡丹姫像付近で行う。
牡丹焚火は初冬の季語として歳時記収載される「松明あかし」とともに須賀川が誇る伝統の火祭りの一つ。
松明あかしは燃え盛る炎が「動」、牡丹焚火は青紫の火をあげる炉を囲む「静」と対照的な光景で、この二つを詠んだ森川光郎桔槹吟社代表自筆の「須賀川に火祭二つ冬が来る」を刻んだ江持石の記念碑を除幕する。
また同園の牡丹焚火は大正期の園主で俳人の柳沼翁が親しい文人を招いて始めたのがきっかけと云われ、原石鼎はじめ多くの俳人が名句を残す。吉川英治の名作「宮本武蔵」の一幕にも登場する。
薄暮時から宵闇に園内が包まれる中で、初めは勢いよく燃え盛る炎が徐々に落ち着き、熾火に近づくにつれ火が赤から青紫へと変化し、炉の周りは牡丹焚火特有のかぐわしい香りに包まれる。この光景は環境省が選ぶ「かおり風景百選」の一つに選ばれている。
同日は主催団体の一つである桔槹吟社が午後2時から恒例の「牡丹焚火俳句大会」を風流のはじめ館で開く。
講師に俳人協会新人賞を受賞し、俳句同人誌「群青」共同代表、俳人協会評議員などを務める佐藤郁良(いくら)さんを迎える。
佐藤さんは平成9年から開成高校国語科教諭を務め、平成13年の俳句甲子園引率から22年連続出場(優勝13回、準優勝4回)を数える。
講演会テーマは「若者達への俳句指導―広く、高く、深く」。俳句大会の選者も務め、牡丹焚火も参加する予定をしている。
コロナ禍のため例年のような一堂に会しての句会は催さない。
牡丹俳句大会選者はほかにも、森川代表、江藤文子さん、金子秀子さん、永瀬十悟さんが務める。入選者は俳誌「桔槹」来年1月号で発表する。