天栄の国道118号鳳坂トンネル開通 半世紀以上の念願成就

その他交通地域振興天栄村

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    開通を祝う関係者たち
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    通り初めで開通したトンネルを走行する関係者たち

 天栄村の鳳坂トンネルを含む国道118号鳳坂工区は27日に開通式を迎え、関係者約70人が記念すべき日を祝った。開通により急カーブ・急勾配が連続する国道118号の最難所が解消され、中通り・会津地方の地域間連携強化や観光振興などが期待される。
 鳳坂工区は総延長34㌔で、このうちトンネルは延長2・538㌔片側1車線となる。また延長49㍍の一本木橋も整備された。
 工事は東日本大震災からの復旧・復興事業として平成25年から県が事業を着手し、29年6月の起工式で本格的にスタートした。
 鳳坂トンネルは山岳トンネルで主流となる「NATM(ナトム)」工法で施工し、坑内の路面を連続鉄筋コンクリート舗装することで、振動・騒音が低減し、走行性を向上させている。
 一本木橋の桁は220㌧クレーンを用いたトラッククレーンベント工法で架設した。
 工区の開通により走行距離は約3㌔短縮、最急縦断勾配は12%から4%に、最小曲線半径は10㍍から350㍍に改善した。
 工事を求める声は約半世紀以上前からあり、天栄村の歴代村長や議員たちが住民の希望を叶えるため、期成同盟など他市町村とともに県や国に働きかけ、ついに念願を成就させた。
 開通により年間を通じて安全な通行が可能となり、利便性向上、羽鳥湖高原をはじめとする観光、地域産業の活性化、救急搬送の時間短縮など期待される。
 式典で内堀雅雄知事は「開通式を迎えたことは喜びに堪えない。県としてはスローガン『ひとつ、ひとつ実現するふくしま』のもと、県土づくりと復興の礎となる社会資本の整備を着実に進め、安全・安心で活力に満ちた新生福島の創造に取り組んでいく」と式辞を述べた。
 来賓祝辞で添田勝幸村長は「先人の熱い思いや地域住民の念願であった鳳坂工区開通の喜びを皆様と分かち合えること、感無量であります。開通により、何より冬期間の安全な交通が確保されることは地元にとっても大きな喜びであり、中通り・会津地方の地域間連携強化が促進され、産業、経済、文化の進展に及ぼす効果は計り知れないものがあると期待している」と喜びを語った。
 そのほか地元選出議員の玄葉光一郎、上杉謙太郎両代議士をはじめとする国会議員、渡辺義信県議会議長が祝辞を述べた。
 出席者たちはテープカットとくす玉割りを行い、通り初めで開通の喜びを分かち合った。
 3歳の孫とともに式典の見学に来た村内男性は「長年待っていた開通を孫と一緒に見られてうれしい。これで人の往来が増え、天栄の良さを多くの観光客に再確認してもらえたらと願っている」と述べた。