【年末特集記事】ソフトテニスで頂点極める 大武姫菜・夢菜姉妹 「世界で戦う」の夢実現へ

スポーツ須賀川市

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    左から鈴木さん、姫菜さん、夢菜さん、関根さん

 2022年は須賀川のソフトテニス史にかつてない輝きをもたらす1年となった。その主役は若干12歳の双子の姉妹、大武姫菜さんと夢菜さん(西袋一小6年)。2人は今夏、ついに日本の頂点に登りつめた。しかし挑戦は終わらない、「世界で戦う選手になりたい」。日本代表を有力視される2人の言葉は既に夢物語ではなく、眼差しの先にはさらなる広大な舞台が広がっている。
 「彼女たちの可能性をサポートするのが我々の役目」と話すのは、県ソフトテニス連盟シニア会理事長で2人の支援を続ける鈴木健一さん(74)=千日堂=。自身も「生涯現役」を目指しプレーする傍ら、2人の活躍の先に五輪を夢見る。
 須賀川レディースクラブ初代会長で、市内の競技振興を支えてきた関根八重子さん(86)=山寺町=は「2人がうらやましい」と優しく目を細め、「地域みんなで育てていくことが大切」と声を合わせた。
 年の瀬が迫る中、4人は大武姉妹の自宅に集まり、報道陣に対して今年の振り返りや来年の目標を語った。
 大武姉妹は今年3月末に全国小学生大会に挑み、決勝戦で6年生ペアに敗れた。当時「悔しくて涙が止まらなかった」と語った2人は練習にも一層力を入れ、大小様々な大会で勝ち続けた。
 そして7月28日から3日間、秋田県で行われた全日本小学生選手権に挑んだ。圧倒的な実力で他県代表を下していったが、準決勝で3セットを先取され窮地に陥った。「絶対に勝ちたかったので、普段はお互いに表情を読んだりしてコミュニケーションをとっているけど、失敗しないよう話し合って作戦を組み立てた」と2人。狙いは見事に的中し、逆転勝利で決勝進出を決め、その勢いで優勝した。
 来春から中学生になるが日本代表としての活躍を目指し、週5日間、父敬さんの指導を受け技術を磨く。
 姫菜さんは「しっかり相手を見て、前でも後ろでも狙って打てる、オールマイティにプレーできるようになりたい」、夢菜さんは「前衛をもっと上手くできるようになり、苦しくても前に行って点を取れるようになりたい」と来年のさらなる上達を目指す。
 そんな2人の活躍に「いつも勇気づけられている」と鈴木さんは語る。県シニア会理事長として、来年は県大会に70歳以上の部を新設するよう働きかけた。「高齢者も活躍できる大会はやりがいにつながり、社会全体の健康寿命延伸に結びつく。今年はケガのため選手としてはあまり活躍できなかったが、来年は東北大会出場を目指す」と意気込む。
 また日本ソフトテニス連盟が同競技の五輪種目化を目指していることを受け、「地域から競技を活性化させることで機運を高め、いつか大武姉妹が五輪の舞台に立てるようにしたい」と夢を描く。「そのためにもみんなで育てる仕組みづくりを自治体などに働きかけながら進めたい」と述べた。
 「できることを協力していきたい」と語る関根さんは、エイジレス・ライフを実践している高齢者として昨年内閣府から章を受け、今年は県ソフトテニス連盟で特別功労者に選ばれた。40年以上前に競技を始めた大ベテランで、県代表として全国大会に出場した経験も持つ。「どこまで上達してもその先があるこの競技に魅了されてきた。今年から大会出場は辞めたが、仲間との練習はこれからも続けていきたい」と語る。
 大武姉妹については、自身が9歳で終戦を経験したことから「子どもの頃からスポーツに打ち込み、活躍できるのがうらやましくもある。でも、だからこそ、須賀川で2人を応援していきたい」と微笑んだ。
 子どもから高齢者まで活躍できる、須賀川を代表するスポーツの一つにまで成長したソフトテニス。その未来を担う4人の活躍に今後も注目したい。

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