須賀川を代表する俳句結社・桔槹吟社の「松明あかし」を詠む俳句大会入賞者が決まり、20日に発表された。同社が発行する俳誌桔槹1月号にも掲載している。
須賀川の晩秋を代表する松明あかしは、昨年11月12日に翠ケ丘公園五老山山頂に3年ぶりに17本の松明を立て、コロナ退散など様々な思いが込められた炎が夜空を赤々と焦がした。
同吟社は長年、松明あかしの季語収載を目指して様々な活動を展開し、多くの関係者の尽力もあって平成30年に収載された。
今年の松明あかしを詠むには、同人・会員の部102句、一般11句の投稿があり、森川光郎同社代表、江藤文子同人会長、佐藤健則幹事長、髙市宏編集長、岡本堯子担当幹事が選者を務めた。
各賞受賞者・句は次の通り。
【同人・会員の部】
◇森川光郎選▽特選=藤田光徳(矢吹)「風を巻き松明あかしの怒涛かな」、菅野潤子(須賀川)「大松明迷ふことなく立ち上がり」▽入選(全員須賀川)=有馬澄子「郷里につれ添ふ人と松明あかし」、佐藤皆夫「歓声や木霊往き交ふ松明あかし」、御代田ハツ「東北の月空焦がす松あかし」、髙橋富子「老いひとりいさみて来たり松明あかし」、安藤スミ子「五老山の闇のふかまる大松明」、永瀬十悟「松明あかし戦なき世を祈りつつ」
◇江藤文子選▽特選(ともに須賀川)=菅野潤子「闇照らす祈りの力松明あかし」、古川春枝「松明あかしやがて総大将は風」▽入選=関根裕子(矢吹)「火柱の馬の嘶き松明あかし」、野崎キン子(玉川)「若き等の太鼓昂る松明あかし」、塩田和子(鏡石)「火の匂ひ残し果てたる松明あかし」、同「しんがりの点火母校の大松明」、黒澤正行(西郷)「九十の先はてさぐり松あかし」、高橋保雄(郡山)「悼とはかくもはげしき松明あかし」
◇佐藤健則選▽特選=添田喜彦(郡山)「松明あかし兜太の句碑の赤むめり」、永瀬十悟(須賀川)「松明あかし戦なき世を祈りつつ」▽入選=有馬澄子(須賀川)「松明あかし点火の若衆闇を突く」、藤田光徳(矢吹)「風を巻き松明あかしの怒涛かな」、石山たま江(須賀川)「松明あかしややはかひなのゆりかごに」、髙橋富子(同)「老いひとりいさみて来たり松明あかし」、古川春枝(同)「女生徒の点火あっぱれ松明あかし」、鈴木傾樹(田村)「松明あかし胸の芯まであぶられて」
◇髙市宏選▽特選=大河原真青(郡山)「燃え残る冬の空あり五老山」、塩田和子(鏡石)「火の匂ひ果てたる松明あかし」▽入選=菅野潤子(須賀川)「闇照らす祈りの力松明あかし」、野崎キン子(玉川)「旗印掲げ母校の松明あかし」、同「松明あかし土塁の残る古戦場」、塩田和子(鏡石)「しんがりの点火母校の大松明」、斎藤正道(梁川)「燃え盛る松明あかし神躍る」、郡司真理子(郡山)「松明あかし闇に光の花となり」
◇岡本堯子選▽特選(ともに須賀川)=佐藤皆夫「歓声や木霊往き交ふ松明あかし」、菅野潤子「闇照らす祈りの力松明あかし」▽入選=有馬澄子(須賀川)「待ちに待つ注ぐ瞳に松明あかし」、藤田光徳(矢吹)「風を巻き松明あかしの怒涛かな」、佐藤秀治(須賀川)「松明あかしほむらのこゑのあるごとし」、伏見良子(同)「刻々と人の湧きたつ松明あかし」、永瀬十悟(同)「松明あかし戦なき世を祈りつつ」、郡司真理子(郡山)「炎炎と松明あかし風を呼ぶ」
【一般の部】
◇森川光郎選(全員須賀川)▽入選=安藤正博「竹爆ぜる怒涛の火色松明あかし」、近江美以子「松明あかし紅蓮巻き上げ星となる」、同「若人の点火凛々しい松明あかし」、丸山和枝「三年分神火爆ぜたる大松明」▽参加賞=安藤正博「火の柱色激しき松明あかし」、今井寛「松明の崩れ一瞬一閃光」、同「松明の火やウクライナ戦時の火」、同「我が町の広告塔に松明あかし」、近江美以子「荘厳の松明あかし魔を鎮め」、丸山和枝「人つなぐ松明あかしの合言葉」、同「炬火照らす戦国絵巻と陣太鼓」