文化財を火災など災害から守る 十念寺など3カ所を査察 防火デーに合わせ消火訓練も

文化須賀川市

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 須賀川市の第69回文化財防火デーにかかる「防火診断査察・消火訓練」は26日、市指定文化財を所有する池上町の十念寺など3カ所で実施し、管理状況や防火体制整備などを確認した。
 文化財防火デーは現存する世界最古の木造建築物である法隆寺金堂が昭和24年に炎上し、壁画が焼損した1月26日を中心に文化財を様々な災害から守るために全国で防火運動を展開している。
 市も先人が残した貴重な文化遺産を災害などから守るため、須賀川地方広域消防本部や所有者・管理者の協力を得て防火診断査察などを毎年実施し、防災意識の向上を図るとともに、市民の文化財に対する理解啓発と愛護思想の高揚を図っている。
 今年は市指定文化財の十念寺「田植塚」、桙衝地内の長楽寺の「同寺山門」、桙衝新田子安観音堂の「子安観音堂諸像(木造子安観音像ほか3体)」、「子安観音堂のヒイラギ」を巡回視察し、それぞれの管理状況や防火体制整備について所有者や管理者から説明を受け、現地の状況を実地調査した。
 合わせて長楽寺山門では管理者による通報訓練と消火器での初期消火訓練を行い、万が一に備えた対応と体制管理を再確認した。
 十念寺の「田植塚」は平成10年文化財指定、同寺正面山門右手に座する。奥の細道で須賀川に8日間滞在した松尾芭蕉が詠んだと伝わる「風流の初やおくの田植うた」が刻まれている。安政2年(1855年)に江戸時代を代表する閨秀歌人の市原多代女によって建立された句碑で、同寺には多代女の墓所と辞世句碑も安置されている。
 長楽寺「山門」は昭和46年文化財指定、寛保2年(1742年)に宮本村の庄屋安藤弥五右衛門が寄進した。切妻、石瓦葺き、四脚門で「荒鹿山」の山号額が掲げられている。長沼地方を代表するサクラ名所として近年は注目を集め、シダレザクラの古木が毎春に見事な花を咲かせる。
 桙衝新田子安観音堂諸像は平成6年、子安観音堂のヒイラギは昭和46年に文化財・天然記念物指定を受けた。