市民劇のチラシ
明治から大正にかけて医師・政治家として活躍し、青年期は須賀川医学校(現公立岩瀬病院)で医学を学んだ後藤新平を顕彰する後藤の出生地・岩手県奥州市で市民劇「新平さんの大風呂敷」が11、12の両日、奥州市文化会館で公演する。開演は11日が午後5時、12日は午後1時から。
後藤新平は安政4年(1857年)に奥州市で生まれ、貧しさから身を起こし、16歳から2年半、須賀川医学校で当時最先端の医学を学んだ。医師、内務省衛生局長、台湾総督府民生長官、南満州鉄道初代総裁、通信大臣、内・外務大臣、東京市長などを歴任した。
世界的なパンデミックを引き起こしているコロナ禍の現状、日清戦争帰還兵23万人のコレラ検疫など優れた手腕に再注目が集まり、今年で発生後100年になる関東大震災後の東京改造計画は、復興への発想や計画があまりにも大きいことから「大風呂敷」とも呼ばれた。
生涯をかけて人づくりに尽力し、ボーイスカウト日本連盟初代総長、東京放送局(現NHK)初代総裁なども務め、自治三訣「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そしてむくいを求めぬよう」は今も多くの支持を集め続ける。
今回の奥州市民劇は激動の時代を生き、近代日本の基礎を築いた後藤の波乱万丈の生涯を骨太に描く。
年代ごとに3人の後藤を演じ分け、少年から青年時代を岩渕龍巳さん、中年から晩年気を星鴉宮さん、ボーイスカウト総長期を髙橋力さんが熱演する。脚本・演出は渡部明さん、総合プロデューサーは高橋瑛子さん、舞台監督は佐々木和美さん。
チケットは全席指定で一般1500円、高校生以下1000円。当日券は各500円増し。未就学児は入場できない。
問い合わせは奥州市文化会館(℡ 0197-22-6622 )まで。
奥州市と須賀川市との交流は後藤が縁をつなぎ、平成13年(2001年)に須賀川市文化センターで公演した、須賀川で青年期を過ごした後藤と住民との交流などを描いた意欲作のすかがわ手づくり市民劇「明日に繋ぐ橋」は、奥州市からも多くの関係者が観劇に来須した。
その後も市民レベルでの交流は続き、地元の顕彰団体が両市を訪れて後藤の活躍を顕彰し合っている。
須賀川では後藤の人づくりにかけた情熱を受け継ぐべく、市民団体・須賀川後藤新平の会を平成25年に結成し、各種研修や講演会、実際に後藤が歩いて医学校まで通ったと伝わる長沼から公立岩瀬病院までの道を歩くイベント、小学生向け絵本「新平と須賀川~新平の礎をつくった須賀川時代」を発刊するなどしている。