団子山古墳について解説した講演会
3月に総括報告書を刊行する須賀川市指定史跡団子山古墳をテーマにした記念講演会「古墳時代の東北」は25日、市内外から歴史愛好家ら100人超が集まり市役所で開かれた。
団子山古墳は平成24年から令和3年までの10年間、市と福大考古学研究室(菊地芳朗教授)が共同調査にあたり、東北でも5例しかない古墳時代前期の埴輪を持つ前方後円墳として近年注目を集めている。
昨年2月の調査成果報告会で、墳長65㍍、公園部直径55㍍、墳長直径17㍍、後円部の高さ10・8㍍、前方部長13㍍、前方部前端幅20㍍、くびれ部幅15㍍の巨大な前方後円墳だと説明され、出土品などから4世紀中葉から後葉と判明した。
後円部墳頂中心で南北主軸の墓穴(南北6・2㍍、東西2・7㍍)の上に未掘だが50㌢ほどの石が乗っている。中には木棺が埋められていると推定されるが現時点では内容不明で、墓誌が出土していないため埋葬者は不明。
後円部の上部を全周するように直径45㌢の円筒埴輪と35㌢の朝顔形埴輪を交互に立てる埴輪列(推定約90本)も確認された。
今回の講演会は調査成果を踏まえた最新の古墳時代研究について、同古墳調査指導委員会委員の菊地芳朗福大教授、柳沼賢治さん(郡山市歴史情報・公文書館設置準備室)、藤澤敦東北大総合学術博物館教授がそれぞれの視点で見解を述べた。
会場には団子山古墳から出土した貴重な埴輪も展示され、来場者は前期埴輪の成立、古墳時代前期集落の特徴、団子山古墳の意義などの講演に興味深く聴き入っていた。